保存期慢性腎不全教育入院における患者指導の改善
【はじめに】 当病棟では、自己管理を目的とした保存期慢性腎不全患者(CKD分類ステージ2までが対象)の教育入院を行っている。平成18年6月のDPC導入に伴い、入院期間の短縮・患者指導内容の充実を図るため、クリティカルパス(以下CP)の改正を行った。従来のCPでは、患者指導は主に看護師が行っていたが、改正CPでは、食事指導は栄養士、服薬指導は薬剤師、検査値の見方は検査技師、日常生活指導は看護師として、コメディカルによる患者指導の分担化を図った。前回の看護研究において、改定CPは在院日数が短縮され、診療報酬が維持できた事が明らかになった。しかし、指導を受ける患者への効果は調査していなかった。今回...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 350 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2008
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.350.0 |
Cover
Summary: | 【はじめに】
当病棟では、自己管理を目的とした保存期慢性腎不全患者(CKD分類ステージ2までが対象)の教育入院を行っている。平成18年6月のDPC導入に伴い、入院期間の短縮・患者指導内容の充実を図るため、クリティカルパス(以下CP)の改正を行った。従来のCPでは、患者指導は主に看護師が行っていたが、改正CPでは、食事指導は栄養士、服薬指導は薬剤師、検査値の見方は検査技師、日常生活指導は看護師として、コメディカルによる患者指導の分担化を図った。前回の看護研究において、改定CPは在院日数が短縮され、診療報酬が維持できた事が明らかになった。しかし、指導を受ける患者への効果は調査していなかった。今回、患者に教育指導の内容についてアンケート調査を実施し、良い結果が得られたので報告する。
【研究方法】
期間 2006年6月~2007年12月
対象 教育入院患者67名 平均年齢 69才
方法 1.教育内容の改善 他職種との連携を図り、患者指導をシステム化する。
2.患者にアンケート調査を行い、指導内容の有効性を明らかにする。
【結果・考察】
1.教育内容の改善 DPC導入前は検査項目が多く予約が入らない、看護師が行う指導の時間が取れない、内シャント造設や患者の希望による退院日の延長などが原因で、在院日数が長期化していた。そこで、コメディカルの専門分野に指導を委託し、教育内容の充実を図った。入院日は可能な限り木曜日に設定し、集団栄養指導を行っている。月曜日は集団検査指導、火曜日と金曜日は看護師による日常生活指導を行っている。改定したCPでは、他職種との連携を図り、患者指導をシステム化したことで、患者・家族に納得した知識の提供ができると考える。また、患者はそれぞれの専門職から直接指導を受けることで理解が深まり、不安も軽減して安心感が得られ、今後の自己管理に役立つと言える。
2.回収率は71%であった。
(1)「栄養士による集団指導はわかりやすかったか」については、はい47名・いいえ1名
(2)「栄養士による個別指導はわかりやすかったか」については、はい47名・いいえ1名 栄養指導は集団と個別に2回行うことにより、集団での疑問を個別時に再確認することができたと考える。
(3)「薬剤師による服薬指導は分かりやすかったか」については、はい41名・いいえ2・無回答5名
(4)「検査技師による説明は分かりやすかったか」については、はい38名・いいえ3名・無回答7名 療養手帳に記入された自分の検査値を見ながら指導を受けることにより、自分の病期が認識できたと考える。
(5)「看護師による日常生活の指導の説明は分かりやすかったか」については、はい45名・いいえ3名
(6)「教育入院による患者指導は今後の療養に役立つか」については、はい47名・いいえ1名であった。
【まとめ】
(1)他部門と連携を図り、専門性を取り入れた患者指導を行う事は、指導内容の充実が図れ、有効だったと言える。
(2)保存期慢性腎不全教育入院した患者は、集団教育指導の相互作用により共通理解でき、今後の自己管理に意欲が持てると考える。 |
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ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.57.0.350.0 |