栄養科における意識改善の取り組み
<はじめに>一般的に食事提供に関するリスクは、『絶食すべき患者の摂食』『配膳対象者の誤認』『食事内容のまちがい』の概ね3種類に分けられるが、当院栄養科でのリスク内容の多くは異物混入・料理の欠品等であり、主な原因はルール遵守を怠っている場合である。そこで、栄養科医療安全対策部会(栄養士1名・調理師1名・調理員2名)では、異物混入の中でもメンバー全員で取り組むことが出来、かつ安全・安心=サービスという意識付けのため、髪の毛混入対策にテーマを絞り栄養科スタッフの意識レベルの向上に取り組み、良い結果が得られたので報告をする。<取り組み調査期間>平成17年12月6日から17日の12日間<方法>(1)髪の...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 222 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2006
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.55.0.222.0 |
Cover
Summary: | <はじめに>一般的に食事提供に関するリスクは、『絶食すべき患者の摂食』『配膳対象者の誤認』『食事内容のまちがい』の概ね3種類に分けられるが、当院栄養科でのリスク内容の多くは異物混入・料理の欠品等であり、主な原因はルール遵守を怠っている場合である。そこで、栄養科医療安全対策部会(栄養士1名・調理師1名・調理員2名)では、異物混入の中でもメンバー全員で取り組むことが出来、かつ安全・安心=サービスという意識付けのため、髪の毛混入対策にテーマを絞り栄養科スタッフの意識レベルの向上に取り組み、良い結果が得られたので報告をする。<取り組み調査期間>平成17年12月6日から17日の12日間<方法>(1)髪の毛混入対策のテーマを決定した後、出勤者が全員集合する毎週火曜日の業務連絡会にて公表する。(2)メンバーの目に必ず止まる休憩室入り口、主厨房入り口、各病棟パントリー入り口にテーマを張り出し、取り組みの意識付けを行なう。(3)身だしなみを整えるため、主厨房入室前に設置してある姿見を見ながら、髪の毛を覆うためのディスポキャップを着用し、その上から帽子をかぶる再教育をする。(4)白衣に付着しているであろう髪の毛を取り除くために、粘着テープの使用を徹底させる。(5)アンケートを実施して自身で意識の確認をさせる。以上、5項目とした。<結果>8ヶ月で6件だった髪の毛混入が12月から3月の4ヶ月間で4件となかなか改善に結びつかなかったが、取り組み後1ヶ月間の粘着テープ使用量は、主厨房:約37m、パントリー8フロアー分:約48mで、取り組み前の約2.5倍となり明らかに使用量が増加した。又、取り組み2週間目に栄養科職員49人にアンケートを実施した結果、テーマを理解し積極的に取り組んだという意見は45人(92%)、髪の毛をしっかりネットに入れた48人(98%)、粘着テープの使用が以前より増えた44人(90%)と高い数値であったが、髪の毛の混入改善が出来たという意見は29人(60%)とやや低い結果であった。それは、髪の毛による異物混入が無くなってはいないという現状からであった。そのため、改善ができたとも出来なかったとも言えないという意見は15人(30%)となった。しかし、今後も髪の毛をネットに入れ、粘着テープの使用を継続するという意見が100%で意識レベルの向上に繋がった。又、テーマを決めて栄養科全員で取り組むことに対してどう思うか?と言う問いには、良いと思うが70%以上、行動改善だけでなく意識改善にも繋がる、全員で取り組んだ方が予防の継続になると思う等前向きな意見が多数出された。<まとめ>『人を良くする』と書いて“食”と読む。その食事を美味しく、安心して召し上がっていただけるように努めることが栄養科の使命であることを心にきざみ、少しでもリスクを防ぐ対策を取らなければいけない。以前からも髪の毛混入対策は、ルール化されていたが「面倒くさい」という認識の低さから遵守されていなかった。しかし、今回ルールに則り栄養科全員で取り組みを実施したことで、自己責任として問題点を捉えることが出来、それが輪になり個人から栄養科全体の意識改善が得られ良い結果に繋がったと思われる。 |
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ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.55.0.222.0 |