間欠型一酸化炭素中毒の2例

【症例1】65歳女性、調理中の不完全燃焼によるCO暴露4週間後より見当識障害、健忘が出現し、受診した。MMSE16点(発症前はMMSE27点)と低下しており、頭部MRIにて深部白質にT2強調像、FLAIRで高信号を認め間欠型CO中毒と診断した。高圧酸素療法を開始したが、一時はMMSE0点、食事をするのも困難な状況となり、MRI上も白質病変の悪化を認めた。52回の高圧酸素療法とリハビリテーションを行い、食事は自立、トイレも自分で行けるようになり、徐々に神経症状は改善した。【症例2】30歳男性、練炭によるCO暴露3週間後に、動作緩慢、見当識障害が出現し、受診した。両上肢の筋強剛、記銘力障害が見られ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 75
Main Authors 伊藤 愛, 牧 聡樹, 大達 清美, 川田  憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2010
一般社団法人 日本農村医学会
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.75.0

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Summary:【症例1】65歳女性、調理中の不完全燃焼によるCO暴露4週間後より見当識障害、健忘が出現し、受診した。MMSE16点(発症前はMMSE27点)と低下しており、頭部MRIにて深部白質にT2強調像、FLAIRで高信号を認め間欠型CO中毒と診断した。高圧酸素療法を開始したが、一時はMMSE0点、食事をするのも困難な状況となり、MRI上も白質病変の悪化を認めた。52回の高圧酸素療法とリハビリテーションを行い、食事は自立、トイレも自分で行けるようになり、徐々に神経症状は改善した。【症例2】30歳男性、練炭によるCO暴露3週間後に、動作緩慢、見当識障害が出現し、受診した。両上肢の筋強剛、記銘力障害が見られ、頭部MRIで脳梁、大脳白質にT2強調像、FLAIRで高信号を認め間欠型CO中毒と診断した。30回の高圧酸素療法により、運動障害、高次脳機能障害が改善した。【考察】高圧酸素療法が有効であった間欠型一酸化炭素中毒の2例を経験した。頭部MRIを経時的に行えたので、臨床症状と合わせ報告する。急性CO中毒の軽快後も間欠型CO中毒を念頭に置き、慎重な経過観察を行うことが重要である。また間欠型CO中毒で高圧酸素療法が有効な例が報告されており、試す価値はあると思われる。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.75.0