多発筋炎に合併した心室頻拍に対しカテーテルアブレーションを行った1剖検例

57歳女性. 45歳時に多発筋炎と診断されステロイドの内服を開始された. 52歳時から心室期外収縮による動悸に対し, 抗不整脈薬内服を開始された. 54歳時に当センターに入院し, 多発筋炎による二次性心筋症と診断されて外来通院していた. 心電図では二束ブロックを認めていたが, 57歳時に心室頻拍/心室細動から心肺停止となり, 心機能低下も増悪していたため, 再同期機能付き植込み型除細動器を適用した. しかし, その後も心室頻拍が頻回に出現し, 抗不整脈薬では抑制できず, カテーテルアブレーションを行った. 高周波通電は心室頻拍中に拡張期電位の記録される左室側の心室中隔部を中心に施行され心室頻拍...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 1; pp. 88 - 94
Main Authors 黒澤 毅文, 松山 高明, 宮本 康二, 松本 学, 大郷 恵子, 池田 善彦, 相庭 武司, 鎌倉 史郎, 草野 研吾, 植田 初江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.88

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Summary:57歳女性. 45歳時に多発筋炎と診断されステロイドの内服を開始された. 52歳時から心室期外収縮による動悸に対し, 抗不整脈薬内服を開始された. 54歳時に当センターに入院し, 多発筋炎による二次性心筋症と診断されて外来通院していた. 心電図では二束ブロックを認めていたが, 57歳時に心室頻拍/心室細動から心肺停止となり, 心機能低下も増悪していたため, 再同期機能付き植込み型除細動器を適用した. しかし, その後も心室頻拍が頻回に出現し, 抗不整脈薬では抑制できず, カテーテルアブレーションを行った. 高周波通電は心室頻拍中に拡張期電位の記録される左室側の心室中隔部を中心に施行され心室頻拍は停止した. 2週間後に異なる波形の心室頻拍が出現したが, 心不全の改善とともに出現しなくなった. 1年後, 全身倦怠感が出現し, 心不全増悪による症状と判断して入院となったが, 入院中に心肺停止となり, 心肺蘇生の効果なく死亡した. 病理解剖では心臓は左脚前枝や右脚が含まれる左室前壁 (両室接合部) ~側壁基部に多発筋炎の炎症後の変化と考えられる高度の置換性線維化が広がり, 二束ブロックであったことに矛盾しなかった. また, 心室中隔基部や後乳頭筋付近の心内膜面にはカテーテルアブレーションの通電瘢痕を認め, それに隣接した心室中隔深層では不均一な網状の線維化病変があり, この線維化病変は心室頻拍を発生させる基質である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.88