在宅療養者の排便状況に影響する因子の検討 報告2
<はじめに>訪問看護師は利用者や介護者の訴えをうけて助言を求められ、その中でも排便の異常が多いと感じていた。訪問看護師として排泄に対しどのようにアプローチすることが望ましいか、その問題が何処にあるかを明確にするため排便状態に影響する問題を検討してきた。その研究からADLが低下している人では排便時の介護が必須であり、排便回数とその性状、排便様式が介護負担量に直結することから、排便コントロールが介護者の意向に左右されることが推察された。そこで現在の排便状況が利用者の病態に適切であるかを確認する必要があると考え、介護負担という観点から利用者の排便状態に影響する問題を検討したので報告する。 <対象・方...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 238 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2008
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.238.0 |
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Summary: | <はじめに>訪問看護師は利用者や介護者の訴えをうけて助言を求められ、その中でも排便の異常が多いと感じていた。訪問看護師として排泄に対しどのようにアプローチすることが望ましいか、その問題が何処にあるかを明確にするため排便状態に影響する問題を検討してきた。その研究からADLが低下している人では排便時の介護が必須であり、排便回数とその性状、排便様式が介護負担量に直結することから、排便コントロールが介護者の意向に左右されることが推察された。そこで現在の排便状況が利用者の病態に適切であるかを確認する必要があると考え、介護負担という観点から利用者の排便状態に影響する問題を検討したので報告する。
<対象・方法>当ステーション利用者52人(うち男性27人、平均年齢75.6歳)に対して排便状況を2週間記録していただき、便意の有無・排便間隔・量・性状・下剤服用の有無と下剤の種類・排泄の介助についてアンケート調査を実施した。
<結果>便意がある利用者は32人(62%)であった。毎日排便がある利用者は21人(41%)、それを含めた排便間隔3日以下の利用者は38人(73%)であった。一般的な便秘の定義である4日以上排便のない利用者は14人(27%)であった。ブリストル便性状尺度でタイプ4以上の軟便の者が45人で86%を占めた。利用者の約半数(29人)が下剤を服用しており、そのうち24人が定期的に服用していた。下剤の種類としてはラキソベロン・プルゼニドといった刺激性下剤が頻用されていた。
排泄介助を必要とする利用者は37人(71%)であった。介助者は配偶者が18人と一番多く次いで嫁であった。介助内容はおむつ交換が多く、その他トイレへの移動、ズボンの上げ下ろし、おしり拭き、トイレの後片付け等で介助を必要とした。排便介助の時間帯は早朝(6時~8時)がもっとも多く18人で深夜(22時~6時)は4人と少なかった。排便回数は1日に2回以上排便のある利用者が13人で、そのうち12人は軟便の利用者であった。排便の介護で負担に感じることとしては、介護者自身の体調が悪い時でも対応しなくてはならないこと、軟便の時、夜間の対応などの項目が多く、その他には便がいつ出たか分からない、体が大きいまたは重い、足が開かない、本人の協力がない、便の量が多いなどの意見が聞かれた。
<考察・まとめ>利用者の下剤投与の調節は主に介護者が行っているが、今回の結果から軟便の傾向となる利用者が多い事が分かった。下剤の効果には、1回の使用で何回もの軟便が続く人などの個人差があり、下剤の種類・使用時間・使用量の調節が適切に行われていない事が明らかになった。介護負担は利用者のADLに応じて差があるものの、実際には介護者の生活リズムや体調など介護者側の要件に左右され、特に夜間の介助を負担に思う介護者が多かった。
以上の結果から、下剤を服用している利用者に対して下剤の種類・使用時間・使用量を再検討することで、介護負担の軽減につなげていきたい。 |
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ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.57.0.238.0 |