全入院症例についての栄養スクリーニンク゛システムの適用

【1.目的】当施設のNSTが独自に構築した栄養スクリーニンク゛システムを全診療科全入院患者に適用して入院時栄養スクリーニンク゛の有用性について調べた。全入症例についてNST活動以前の2002年とそれ以後の間での血清アルフ゛ミン値検査結果の相違を調べた。 【2.方法】(1)スクリーニンク゛:システムの構築: 標準のSGA(主観的包括的評価)およびODA(客観的栄養評価)として身長、体重、血清アルフ゛ミン値、総リンハ゜球数を独自に作製したソフトウェアに入力し、SGAおよびODAのテ゛ータをもとに自動出力されたスクリーニンク゛スコアが3および4点の症例を栄養不良疑いと判定した。(2)分析: 説明変数...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 236
Main Authors 杉村 沙都江, 富永 勉, 玄 東吉, 大野 智之, 倉益 直子, 鴻巣 美佐子, 中嶋 文江, 原信田 努
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2007
一般社団法人 日本農村医学会
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.236.0

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Summary:【1.目的】当施設のNSTが独自に構築した栄養スクリーニンク゛システムを全診療科全入院患者に適用して入院時栄養スクリーニンク゛の有用性について調べた。全入症例についてNST活動以前の2002年とそれ以後の間での血清アルフ゛ミン値検査結果の相違を調べた。 【2.方法】(1)スクリーニンク゛:システムの構築: 標準のSGA(主観的包括的評価)およびODA(客観的栄養評価)として身長、体重、血清アルフ゛ミン値、総リンハ゜球数を独自に作製したソフトウェアに入力し、SGAおよびODAのテ゛ータをもとに自動出力されたスクリーニンク゛スコアが3および4点の症例を栄養不良疑いと判定した。(2)分析: 説明変数としてスクリーニンク゛システムに記録された年齢、SGA、理想体重比、アルフ゛ミン値、総リンハ゜球数、目的変数として当施設の退院要約に記録された入院日数、入院中死亡、再入院、退院時看護度を採用し、説明変数間の関連を相関分析にて、説明変数と目的変数の関連を重回帰およびロシ゛スティック分析にて、栄養不良群の同定をクラスター分析にて、スクリーニンク゛システムによる栄養不良の診断確度について交叉集計表にて、調べた。 (3)2002年より2005年までの各年の3から5月の低アルフ゛ミン血症の頻度について交差集計表にて調べた。 【3.結果】2004年9月より2005年8月まで、電子退院要約登録9561例中テ゛ータ欠損のないものが860例であった。目的変数間ではアルフ゛ミン値とSGAで相対的に強い相関を認めた。SGAと血清アルフ゛ミン値は入院時死亡および入院日数に有意に関連していた。説明変数についてのクラスター分析により栄養不良群(高齢、低体重、高SGAスコア、低アルフ゛ミン値)が同定され、245例が含まれていた。 SGA単独では擬陰性が多く発生するが、スクリーニンク゛スコアにより診断確度の改善が可能であった。 血清アルフ゛ミン値3.0(g/dl)以下の頻度は、2002年39.6%、2003年36.8%、2004年35.8%、2005年37.3%、血清アルフ゛ミン値2.1から3.0の頻度は、2002年35.5%、2003年32.5%、2004年31.1%、2005年32.0%と有意な減少があった。 【4.考察及び結論】平成18年度の診療報酬改定により全入院症例について、栄養管理計画書を作製した場合に栄養管理加算が算定されることになった。当施設では同じ主旨に沿った全入院症例に関する栄養スクリーニンク゛を先駆けて実践したが、個別の栄養不良症例の指摘に加えて、全般的な栄養不良の分布、傾向の一端を知ることができた。NST活動開始以後に入院症例についての低アルフ゛ンミン血症発生数が減少した。新規入院症例の約3割より構成される栄養不良群について、原傷病の治療とは別の栄養の視点での管理が本邦でも拡がりをみている。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.236.0