簡易血糖測定(SMBG)の検討

〈緒言〉日常の血糖自己測定(SMBG)指導では、インスリン製剤の取り扱いに比べ、自己測定器の適温環境下における測定についての指導は軽視されがちである。今回、環境温度の測定値に与える影響について検討したので報告する。 〈方法〉SMBG機器3機種を低温下6℃、室温24℃、高温下40℃でク゛ルコース添加ヘハ゜リン全血を用い測定を行った。 〈使用機器〉ク゛ルテストエースR GOD電極法(三和化学)、ワンタッチウルトラ GOD電極法(シ゛ョンソン&シ゛ョンソン)、フ゜レシシ゛ョンエクシート゛ GDH NAD法(アホ゛ットシ゛ャハ゜ン)  〈結果〉ク゛ルテストエースRおよびワンタッチウルトラは、室温に比べ...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 121
Main Authors 宇野 志保, 山田 祐介, 下竹 美由紀, 山田 幸司, 中根 生弥, 山崎 良兼
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2007
一般社団法人 日本農村医学会
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.121.0

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Summary:〈緒言〉日常の血糖自己測定(SMBG)指導では、インスリン製剤の取り扱いに比べ、自己測定器の適温環境下における測定についての指導は軽視されがちである。今回、環境温度の測定値に与える影響について検討したので報告する。 〈方法〉SMBG機器3機種を低温下6℃、室温24℃、高温下40℃でク゛ルコース添加ヘハ゜リン全血を用い測定を行った。 〈使用機器〉ク゛ルテストエースR GOD電極法(三和化学)、ワンタッチウルトラ GOD電極法(シ゛ョンソン&シ゛ョンソン)、フ゜レシシ゛ョンエクシート゛ GDH NAD法(アホ゛ットシ゛ャハ゜ン)  〈結果〉ク゛ルテストエースRおよびワンタッチウルトラは、室温に比べ低温では高値傾向を示し、逆に高温では低値傾向を示した。またフ゜レシシ゛ョンエクシート゛は低温では低値傾向を示し、高温では室温とほぼ同様な測定値を示した。 また、追加検討として、低温下3℃に長時間置かれた機器(A機)を低温下3℃から室温24℃に戻し、機器の温度および測定値の経時的変化を調査した。対象として実験開始前から室温24℃に長時間置かれた機器(B機)も同時測定した。その結果、機器(A機)を低温から室温に戻し約20~25分経過時に機器の温度および、測定値は機器(B機)とほぼ同様の数値を示した。 〈考察〉3機種すべてにおいて温度依存性が認められた。その原因として各測定機器における温度感知機能や測定値補正機能が異なることが原因であると考えられた。一般的に酵素反応は、酵素が最適に反応するための至適温度がある。したがって、温度が低いほど反応速度は低下し測定値も低値傾向を示すことが推測される。今回低温で高値傾向を示した機器については温度を感知して至適温度での測定値に近似した値に補正して表示する機能を有しているが、この補正効果が適切に機能せず低温環境下で高値傾向を示したのではないかと推察された。 〈結語〉夏期の車中や冬期でのSMBG機器の保管環境によってはその至適温度を超えるケースも多く、その際には必ず機器を至適温度に戻してから測定する必要がある。 機器によってはエラー表示し測定は開始されない機器もあるが、その逆に測定を開始し、温度補正しきれずに正しい測定値が得られない機器も存在する。われわれ臨床検査技師は、臨床検査コ-ディネイタ-として機器の特性を充分に理解し適切なSMBG指導が必要であり、正確な医療情報を患者さまおよびチーム医療スタッフに積極的に啓発活動していく必要があると考える。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.121.0