Geologic Structure of Cretaceous Volcanic Rocks distributed in Southeast part of Himeji City,Hyogo Prefecture,SW Japan

はじめに:アジア大陸東縁での白亜紀大規模火成活動の産物である火山岩類と深成岩類は西南日本内帯に広く分布する.兵庫県南部に分布する白亜紀火山岩類は広域にわたる岩相の類似性で対比した包括的な層序区分に基づき相生層群・有馬層群など層群単位で一括された(岸田・弘原海,1967など).近年産総研による5万分の1地質図幅の研究進展に伴い,白亜紀火山岩類の多くは独立した堆積盆(陥没カルデラ)を埋積したカルデラ埋積層であることが明らかにされ,その認定と内部層序の解明が進んだ(Yamamoto,2003;吉川ほか,2005;佐藤ほか,2016など). 本地域の周辺に分布する白亜紀火山岩類は後藤・井上(1998)...

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Published inAnnual Meeting of the Geological Society of Japan p. 440
Main Authors MOURI, Motoki, MATSUBARA, Noritaka, NOUMI, Yousuke
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published The Geological Society of Japan 2023
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Summary:はじめに:アジア大陸東縁での白亜紀大規模火成活動の産物である火山岩類と深成岩類は西南日本内帯に広く分布する.兵庫県南部に分布する白亜紀火山岩類は広域にわたる岩相の類似性で対比した包括的な層序区分に基づき相生層群・有馬層群など層群単位で一括された(岸田・弘原海,1967など).近年産総研による5万分の1地質図幅の研究進展に伴い,白亜紀火山岩類の多くは独立した堆積盆(陥没カルデラ)を埋積したカルデラ埋積層であることが明らかにされ,その認定と内部層序の解明が進んだ(Yamamoto,2003;吉川ほか,2005;佐藤ほか,2016など). 本地域の周辺に分布する白亜紀火山岩類は後藤・井上(1998)や尾崎・原山(2003)によって層序区分が行われ,Yamamoto(2003)が大型カルデラ(径20×12㎞)の存在を指摘したものの,カルデラ構造や陥没様式は明確でない.本報告ではYamamoto(2003)が指摘した大型カルデラ南西部の縁辺にあたる地域で調査を行い,地質構造や陥没カルデラ境界,陥没様式を考察する.地質構造:四郷層の層序的下位に分布する先白亜系(丹波帯堆積岩)の層理面の構造は当地域西部の市川以西,市域中央平野部の姫山・男山・景福寺山・手柄山では北東-南西走向で概略25〜85°北東あるいは南西傾斜,的形町福泊~妻鹿の海岸の岩体とくに木場側の露頭では70~80°北東あるいは西傾斜,花田町高木付近では70〜80°南西傾斜を示す.四郷層は木場~的形の海岸で概略10~20°北-北西傾斜,播磨小富士山・仁寿山・南山で5~30°場所により40°北傾斜を示す.四郷層全体の構造は北西ー南東走向で北東ー北西に5〜30°傾斜する.以上のように四郷層の構造は明らかに先白亜系の構造とは非調和であると言える.四郷層は北に緩傾斜した単斜構造(後藤・井上,1998)でカルデラ底(堆積時の地形面)の構造を反映している可能性が大きい.陥没カルデラ境界:市川東岸において先白亜系との境界付近に分布する流紋岩体は地質図(後藤・井上,1998の付図)上で直線に近い軌跡をもち地層境界面が高角度に傾斜しているものと推定される.四郷町山脇や上鈴では流紋岩体の貫入の姿勢が北西-南東方向で,西に50~70°傾斜する構造が観察された(写真).つまり四郷層と先白亜系との境界が高角度で接するのは,市川東岸である.加えて市川東岸では流紋岩溶岩の配列が四郷層の分布を規制する,以上より陥没カルデラ境界の西縁は市川東岸の山地,市川河口から北東方向に推定される. また南縁は,丹波帯堆積岩と強溶結凝灰岩との不整合面が観察される市域南東部(妻鹿~的形町)の海岸線,市川河口以東の方向に推定される.市川東岸近傍(妻鹿御旅山南麓)では不淘汰角礫岩がみられ,四郷層と先白亜系との境界付近にカルデラ壁のような急崖が存在したことを暗示する.後藤・井上(2001)は小赤壁の直線的な海岸線の方向は海岸線以南に断層の存在が予想され,強溶結凝灰岩に被覆されて露出する丹波帯堆積岩の位置は当時の地形的な高所であったとされる.後藤・井上(2001)の目算を参考にすると四郷層分布域の西端と南端は境界断層で先白亜系と接することとなり,一つあるいは複数の断層系による多角形状の陥没縁を描ける可能性がある.陥没様式:四郷層の成層灰岩と火山礫凝灰岩〜凝灰角礫岩には陸域と水域が2〜8回ほど交互に繰り返す岩相変化がみられることから,本カルデラの西縁部で小規模な陥没が漸進的に進行する様式(例えば小室ほか,2014;今岡ほか,2019)で陥没し,水域が存続した. 引用文献:後藤博弥・井上剛一(1998)姫路市史第7巻上[自然],姫路市史編集専門委員会,39,64-69,86-91.後藤博弥・井上剛一(2001)姫路市史 第1巻上自然本編,姫路市史編集専門委員会,80-87.今岡照喜・井川寿之・岸司・木村元・大中翔平・ 西川裕輔・小室裕明(2019)地質学雑誌,125,7, 529-553. 岸田孝蔵・弘原海清(1967)柴田秀賢教授退官記 念論文集,241-255.尾崎正紀・原山 智(2003)地域地質 研究報告 5 万 分の 1 地質図幅[高砂],岡山,71,地質調査所, 14-20.小室裕明・亀井淳志・大平寛人・三好未希子・田結庄良昭・引原団体研究グループ(2014)地球科学,68,81-88.佐藤大介・山元孝広・高木哲一(2016) 地域地質研究報告5万分の1地質図幅[播州赤穂],岡山,69,地質調査総合センター,11-31.Yamamoto,T.(2003)The Island Arc,12,Issue3,294-309. 吉川敏之・栗本史雄・青木正博(2005)地域地質研究報告 5万分の1 地質図幅[生野],岡山,47, 地質調査総合センター,14-27.
Bibliography:T15-P-13
ISSN:1348-3935
2187-6665
DOI:10.14863/geosocabst.2023.0_440