髄液移行からみたCephacetrileの脳神経外科領域における有用性の検討
細菌性髄膜炎の際に種々の抗生剤が高濃度に髄液中に移行することはよく知られている。しかし, 脳神経外科領域では術後, 細菌感染予防のために抗生剤を使用する機会が多い。このため, 種々の非感染性脳外科的疾患時の術後という条件下で抗生剤が髄液中にどの程度移行するかという事を知ることは極めて重要であると思われる。 持続脳室ドレナージ, 又は腰椎ドレナージを施行した9例の脳外科息者に, 術後セファロスポリン系抗生物質の一つであるCephacetrile (CEC) を2g静脈内投与し, 経時的に血液及び髄液を採取しCECの濃度測定を行なった。濃度測定にはBacillus subtilis ATCC 66...
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Published in | CHEMOTHERAPY Vol. 29; no. 7; pp. 749 - 753 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
25.07.1981
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ISSN | 0009-3165 1884-5894 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1953.29.749 |
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Summary: | 細菌性髄膜炎の際に種々の抗生剤が高濃度に髄液中に移行することはよく知られている。しかし, 脳神経外科領域では術後, 細菌感染予防のために抗生剤を使用する機会が多い。このため, 種々の非感染性脳外科的疾患時の術後という条件下で抗生剤が髄液中にどの程度移行するかという事を知ることは極めて重要であると思われる。 持続脳室ドレナージ, 又は腰椎ドレナージを施行した9例の脳外科息者に, 術後セファロスポリン系抗生物質の一つであるCephacetrile (CEC) を2g静脈内投与し, 経時的に血液及び髄液を採取しCECの濃度測定を行なった。濃度測定にはBacillus subtilis ATCC 6633を検定菌とする薄層カップ法を用いた。 CECの血中移行濃度は全症例とも比較的一定の傾向を示したが, 髄液中移行濃度はそのピーク値および経時的変動ともに個々の症例でかなりのばらつきを示した。しかし, 大部分の症例で高濃度の髄液移行が認められ, グラム陽性菌 (Staphylococcus aureus等) のMICより高濃度を呈したものが9例中8例 (89%), グラム陰性菌 (Neisseria meningitidis等) のMICより高濃度を呈したものが9例中6例 (67%) であった。 以上の結果より, CECは脳外科手術の全身投与によって比較的高濃度の髄液中移行が得られ, 術後感染の予防に極めて有用であると結論される。 |
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ISSN: | 0009-3165 1884-5894 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1953.29.749 |