CaSO4・2H2O及びCa(OH)2が共存したCaO・Al2O3の水和挙動

CaSO4・2H2O, Ca(OH)2が共存したときのCaO・Al2O3の水和, 特にCa(OH)2が存在したときのエトリンガイトの挙動を検討した. これは3CaO・Al2O3の場合にも重要な情報を与える. 本報では固-液間の相互関係を解析し, 次のような結論を得た. CaO・Al2O3にCa(OH)2を混合すると水和直後に4CaO・Al2O3・13H2OとAl(OH)3ゲルとが生成される. その量比はCa(OH)2の添加量によって変動し, 凝結は瞬結にも過遅延にもなり, 未水和粒子表面にAFm相を形成する. これにCaSO4・2H2Oが存在すると凝結は遅延される. この原因は, Ca(OH)...

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Published in窯業協會誌 Vol. 90; no. 1046; pp. 562 - 569
Main Authors 露木, 尚光, 笠井, 順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本セラミックス協会 01.10.1982
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Summary:CaSO4・2H2O, Ca(OH)2が共存したときのCaO・Al2O3の水和, 特にCa(OH)2が存在したときのエトリンガイトの挙動を検討した. これは3CaO・Al2O3の場合にも重要な情報を与える. 本報では固-液間の相互関係を解析し, 次のような結論を得た. CaO・Al2O3にCa(OH)2を混合すると水和直後に4CaO・Al2O3・13H2OとAl(OH)3ゲルとが生成される. その量比はCa(OH)2の添加量によって変動し, 凝結は瞬結にも過遅延にもなり, 未水和粒子表面にAFm相を形成する. これにCaSO4・2H2Oが存在すると凝結は遅延される. この原因は, Ca(OH)2のCa2+のみならず, 同種イオンであるCaSO4・2H2OのCa2+及びSO42-とも急速に反応してエトリンガイトを生成するため, CaO・Al2O3から溶出されるAl(OH)4-を消費するからである. エトリンガイトを生成するにはCaO・Al2O3から溶出される3molのCa2+に対して, 2molのAl(OH)4-があれば十分で, それ以上は反応に寄与しないで爆発的な溶出となって現れる. この時点でAFt相の形成は顕著になり, 残存Al(OH)4-はその後Al(OH)3ゲルに変わる. したがって, 3成分共存の初期水和は, 生成する4CaO・Al2O3・13H2O及びエトリンガイトの結晶性水和物とAl(OH)3ゲルとの量化によって著しく変動する. Ca(OH)2の存在はAFt相の形成, 更にはモノサルフェイトへの転化を促進する.
ISSN:0009-0255
1884-2127
DOI:10.2109/jcersj1950.90.1046_562