顎関節症治療における咬合関連治療の再評価
咬合要因が顎関節症の治療効果に影響するか否かを明らかにする目的で, 片側顎関節症患者382例を対象に, 咬合要因の回避, 改善をはかった咬合治療群 (193例) とそのような意図を持たずに治療した非咬合治療群 (189例) との2群間で後ろ向き研究で検討した。検討要因としては性, 年齢, 病悩期間, 初診時重症度スコア, 保有する関連要因 (アングル分類II, III級の有無, 5mm以上のオーバーバイトとオーバージェットの有無, 大臼歯部咬合支持喪失の有無, 咬合高径低下の有無, 早期接触の有無, 非作業側接触の有無, 前歯部ガイド不正の有無, 下顎に対する外傷既往の有無, 歯列矯正治療経験...
Saved in:
Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 10; no. 2; pp. 348 - 362 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
20.09.1998
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu1989.10.348 |
Cover
Summary: | 咬合要因が顎関節症の治療効果に影響するか否かを明らかにする目的で, 片側顎関節症患者382例を対象に, 咬合要因の回避, 改善をはかった咬合治療群 (193例) とそのような意図を持たずに治療した非咬合治療群 (189例) との2群間で後ろ向き研究で検討した。検討要因としては性, 年齢, 病悩期間, 初診時重症度スコア, 保有する関連要因 (アングル分類II, III級の有無, 5mm以上のオーバーバイトとオーバージェットの有無, 大臼歯部咬合支持喪失の有無, 咬合高径低下の有無, 早期接触の有無, 非作業側接触の有無, 前歯部ガイド不正の有無, 下顎に対する外傷既往の有無, 歯列矯正治療経験の有無, 就眠時ブラキシズムの有無), 治療法 (経過観察, スタビリゼーションスプリント, 咬合調整, 投薬, 関節可動化訓練, 筋伸展, 負荷筋訓練, リポジショニングスプリント, ピボッティングスプリント, ナイトガード, 関節円板復位マニピュレーション, ガム咀嚼訓練, カウンセリング, 鍼治療) 実施の有無, 治療効果判定結果を選択し, 比較検討した。合わせて不変悪化例にどのような因子が存在するのかを明らかにするために, エンドポイントを不変悪化とし, 独立変数に上記変数を割り当てたロジスティック回帰分析を実施した。 その結果, 上記咬合要因の回避ないし改善が必ずしも症状の改善に貢献しているとの結果は得られなかった。またロジスティック回帰分析から今回取り上げたもの以外の要因が症状の維持継続に関与している可能性が示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu1989.10.348 |