悪性腫瘍随伴高カルシウム血症を呈した有棘細胞癌の1例

72歳, 男性。50年来の臀部慢性膿皮症が増悪し数年前より浸出液を排出する病巣となっていた。最近右鼠径部皮膚に腫瘤が出現, 自壊してきたため受診。臨床像と組織学的検索により臀部慢性膿皮症に続発した有棘細胞癌と診断し, 手術的治療を行ったが, 術後3週間頃より胸水貯留が認められ, 有棘細胞癌の胸腔内転移と診断された。血清カルシウム値は入院直後6mEq/l前後でほぼ一定であったものが術後急激に正常化, 術後18日目より再び7~8mEq/l前後まで上昇し始め, 原因として有棘細胞癌による副甲状腺ホルモン関連ペプチド (PTHrP) 産生が考えられ悪性腫瘍随伴高カルシウム血症が疑われた。...

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Published in皮膚 Vol. 40; no. 5; pp. 472 - 475
Main Authors 枋谷, 忍, 薄木, 晶子, 川上, 尚弘, 松井, 麻貴子, 安陵, 成浩, 清水, 良輔, 前田, 達生, 福原, 正博, 川口, 勝徳
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本皮膚科学会大阪地方会 01.10.1998
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Summary:72歳, 男性。50年来の臀部慢性膿皮症が増悪し数年前より浸出液を排出する病巣となっていた。最近右鼠径部皮膚に腫瘤が出現, 自壊してきたため受診。臨床像と組織学的検索により臀部慢性膿皮症に続発した有棘細胞癌と診断し, 手術的治療を行ったが, 術後3週間頃より胸水貯留が認められ, 有棘細胞癌の胸腔内転移と診断された。血清カルシウム値は入院直後6mEq/l前後でほぼ一定であったものが術後急激に正常化, 術後18日目より再び7~8mEq/l前後まで上昇し始め, 原因として有棘細胞癌による副甲状腺ホルモン関連ペプチド (PTHrP) 産生が考えられ悪性腫瘍随伴高カルシウム血症が疑われた。
ISSN:0018-1390
1884-541X
DOI:10.11340/skinresearch1959.40.472