電解溶解/ストリッピングボルタンメトリーによる鋼中銅の迅速定量

固体試料の電解溶解と高い感度と精度が容易に得られるストリッピングボルタンメトリー (SV) を組み合わせて, 迅速簡便でオンサイト化が可能な工程管理化学分析システムを構築し, 鋼中銅の定量に応用した. 6mol dm-3塩酸5cm3中, 電解セル底部にセットしたブロック状鋼試料をアノードとして5A (電流密度約1.6A cm-2) 以下の定電流で電解すると, 100%の電流効率で試料は溶解した. 電解溶解終了後, 2mol dm-3水酸化ナトリウム溶液10cm3を送液し, 酸濃度を薄めてから同じセル中でSV測定を行った. 一連の操作はシーケンスプログラマーで自動制御した. 鉄は二価として溶存す...

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Published in分析化学 Vol. 50; no. 12; pp. 855 - 860
Main Authors 田中, 龍彦, 士反, 慶介, 近藤, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.12.2001
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Summary:固体試料の電解溶解と高い感度と精度が容易に得られるストリッピングボルタンメトリー (SV) を組み合わせて, 迅速簡便でオンサイト化が可能な工程管理化学分析システムを構築し, 鋼中銅の定量に応用した. 6mol dm-3塩酸5cm3中, 電解セル底部にセットしたブロック状鋼試料をアノードとして5A (電流密度約1.6A cm-2) 以下の定電流で電解すると, 100%の電流効率で試料は溶解した. 電解溶解終了後, 2mol dm-3水酸化ナトリウム溶液10cm3を送液し, 酸濃度を薄めてから同じセル中でSV測定を行った. 一連の操作はシーケンスプログラマーで自動制御した. 鉄は二価として溶存するため, SV測定への影響はほとんど無視できた. 試料の電解溶解時間を変化させることにより, 0.0003~0.26mass%の銅が定量可能であった. 構築したシステムを実試料の分析に応用し, 鋼中0.001~0.051mass%の銅を120秒間以内で定量できた. 相対標準偏差は3~5%であった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.50.855