咬合力と積分筋電位の実測値を用い静力学的平衡式により試みた顎関節負荷算出法

顎関節内障, 変形性顎関節症の発症には顎関節負荷が大きく関与していると考えられる。咬合力計と歯科用感圧シートを用い, かみしめ時の咬合力と同時に積分筋電位を実測した。それらの値を静力学的平衡式に代入して顎関節負荷を算出する方法を示した。 下顎のかみしめ時の筋力, 咬合力および顎関節負荷を考えると, 垂直方向の力のつりあい -(1), 両側下顎頭を通る軸 -(2) および咬合平面に平行の正中矢状面を通る軸の回りのモーメントのつりあい -(3) の静力学的平衡式が成り立つ。筋力はその積分筋電図の波高値に比例し最大筋力は筋の断面積に比例すると見, (1) (2) (3) 式の筋力の項を筋種に一定の比...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 32 - 41
Main Authors 森本, 佳成, 細井, 栄二, 杉村, 正仁, 匠原, 悦男, 川上, 哲司, 都築, 正史, 高山, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.04.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.12.32

Cover

Loading…
More Information
Summary:顎関節内障, 変形性顎関節症の発症には顎関節負荷が大きく関与していると考えられる。咬合力計と歯科用感圧シートを用い, かみしめ時の咬合力と同時に積分筋電位を実測した。それらの値を静力学的平衡式に代入して顎関節負荷を算出する方法を示した。 下顎のかみしめ時の筋力, 咬合力および顎関節負荷を考えると, 垂直方向の力のつりあい -(1), 両側下顎頭を通る軸 -(2) および咬合平面に平行の正中矢状面を通る軸の回りのモーメントのつりあい -(3) の静力学的平衡式が成り立つ。筋力はその積分筋電図の波高値に比例し最大筋力は筋の断面積に比例すると見, (1) (2) (3) 式の筋力の項を筋種に一定の比例定数と積分筋電図の波高値との積で置き換える。かみしめ時の (2) に筋電図の波高値, 咬合力計で測定した咬合力のモーメントおよび頭部X線規格写真から読み取った長さを代入すれば, 方程式の解として筋肉の比例定数が求められる。さらにこれと歯科用感圧シートをかみしめたときの積分筋電図の波高値との積を筋力とし, その咬合力の記録とを (1) (3) 式に代入すれば連立方程式の解として, 中心咬合位での異なるかみしめ時の顎関節負荷を算出することが出来る。 この方法により, 片側のかみしめにおいて筋力の大きい側でより大きな顎関節負荷が加わることが示された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.12.32