高齢者心不全のCGAと介護

高齢者の医療では若年者と異なり, 医学的な視点に加えてCGA的視点, すなわち精神機能, ADL, 社会的背景などが重要であるといわれている. 我々は慢性心不全の高齢者に対し従来の治療に加え, 1) 理学療法士によるADLや運動耐容能改善を目的とした運動療法, 2) 認知機能に合わせた看護師, 薬剤師, 栄養士による生活指導, 3) MSWによる社会資源の活用などを組み合わせ, 心不全増悪による再入院阻止を目的としたチーム医療を行った. これらの介入を行った患者の心不全による再入院, 介入前後の医療コストや入院期間について検討し, 多職種による介入の有用性を調査した. 運動療法により, 下肢筋...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 179 - 181
Main Author 中原, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.03.2006
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.43.179

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Summary:高齢者の医療では若年者と異なり, 医学的な視点に加えてCGA的視点, すなわち精神機能, ADL, 社会的背景などが重要であるといわれている. 我々は慢性心不全の高齢者に対し従来の治療に加え, 1) 理学療法士によるADLや運動耐容能改善を目的とした運動療法, 2) 認知機能に合わせた看護師, 薬剤師, 栄養士による生活指導, 3) MSWによる社会資源の活用などを組み合わせ, 心不全増悪による再入院阻止を目的としたチーム医療を行った. これらの介入を行った患者の心不全による再入院, 介入前後の医療コストや入院期間について検討し, 多職種による介入の有用性を調査した. 運動療法により, 下肢筋力は増強し, 自覚症や運動耐容能は改善し, 生活範囲も拡大した. また心不全増悪による再入院も有意に阻止できた. さらに介入前に比し, 介入後は心不全による入院期間や総医療コストも改善した. 慢性心不全の高齢者にたいしてのCGA的視点からの多職種による介入は, 有用である.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.43.179