多彩な神経症状を合併した Diffuse Idiopathic Skeletal hyperostosis (DISH) の1例

症例は71歳, 女性. 主訴は歩行障害. 1984年60歳頃より, 徐々に両下肢のひきずりおよびふらつき歩行, 腰背部痛が出現し増強してきたため1995年4月当科に入院した. 神経学的所見としては, 頸部・体幹部の高度の前後屈制限, 四肢深部覚低下, Romberg 徴候陽性, 両下肢遠位部の痛覚過敏, 両下肢腱反射低下, 両側 Babinski 徴候陽性, 失調性痙性歩行を認めた. 血液検査では, 特に異常はみられなかった. 単純X線撮影にて, 脊椎, 骨盤ほか全身性に靱帯骨化が著明であり, 胸腰椎部CTにて黄色靱帯骨化による脊髄圧迫所見が確認された. また末梢神経伝導検査にて両側脛骨神経お...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 186 - 190
Main Authors 西村, 由紀子, 望月, 得郎, 根来, 清, 野垣, 宏, 森松, 光紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.03.1996
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Summary:症例は71歳, 女性. 主訴は歩行障害. 1984年60歳頃より, 徐々に両下肢のひきずりおよびふらつき歩行, 腰背部痛が出現し増強してきたため1995年4月当科に入院した. 神経学的所見としては, 頸部・体幹部の高度の前後屈制限, 四肢深部覚低下, Romberg 徴候陽性, 両下肢遠位部の痛覚過敏, 両下肢腱反射低下, 両側 Babinski 徴候陽性, 失調性痙性歩行を認めた. 血液検査では, 特に異常はみられなかった. 単純X線撮影にて, 脊椎, 骨盤ほか全身性に靱帯骨化が著明であり, 胸腰椎部CTにて黄色靱帯骨化による脊髄圧迫所見が確認された. また末梢神経伝導検査にて両側脛骨神経および腓腹神経の伝導速度の低下を認めた. 本例のX線所見は ankylosing spondylitis (AS) に類似するものであったが, ASに比し高齢発症で炎症所見に乏しいこと, 仙腸関節の骨化が不完全であることなどより, diffuse idiopathic skeletal hyperostosis (DISH) と診断した. DISHに神経症状を合併する頻度は少なく, 興味ある症例と思われ報告した.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.33.186