歯根吸収組織コラーゲンの特異性 その架橋結合とIII型コラーゲンについて

歯根吸収組織は乳歯根吸収をつかさどる特異な結合組織であり, 吸収面が赤色で吸収活性の高いものと白色で活性の低いものとの2種類ある。著者らはこの組織の主成分であるコラーゲンの構造にも特異な機能が反映されていると考え, コラーゲンの安定化や機能発現に重要な役割をている架橋結合の分析ならびにコラーゲンのサブユニット構成を知るためプロムシアン (CNBr) ペプチドの分析を行った。その結果各々のコラーゲンの分子間結合のパターンは普通の軟組織とは非常に異なりdihydroxylysinonorleucineの方がhydroxylysinonorleucineよりも多くその比は赤色の組織で2.4, 白色の...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 61 - 68
Main Authors 小口, 春久, 久保木, 芳徳, 下川, 仁弥太, 佐々木, 哲
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 歯科基礎医学会 31.12.1975
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Summary:歯根吸収組織は乳歯根吸収をつかさどる特異な結合組織であり, 吸収面が赤色で吸収活性の高いものと白色で活性の低いものとの2種類ある。著者らはこの組織の主成分であるコラーゲンの構造にも特異な機能が反映されていると考え, コラーゲンの安定化や機能発現に重要な役割をている架橋結合の分析ならびにコラーゲンのサブユニット構成を知るためプロムシアン (CNBr) ペプチドの分析を行った。その結果各々のコラーゲンの分子間結合のパターンは普通の軟組織とは非常に異なりdihydroxylysinonorleucineの方がhydroxylysinonorleucineよりも多くその比は赤色の組織で2.4, 白色の組織で1.4であり, 両組織ともAldol縮合体を含み非常に幼若なコラーゲンの架橋パターンを示すことがわかった。またCNBr法によるサブユニット分析からも吸収組織には通常のI型コラーゲン以外に胎生または幼若な組織に特徴的なIII型コラーゲンが25%存在することがわかり, この組織の幼若な特性が明らかにされた。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.17.61