相反性クリック症例における顆頭運動の3次元解析 8の字形の顆路パターンを示す症例

相反性クリックは復位を伴う関節円板前方転位に関連することが知られている。したがって, クリック発生時における顆頭の動態は, 関節円板の転位状態を反映していると考えられる。しかし, その3次元動態に関しては, 測定の困難さから, いまだ十分に明らかにされていない。そこで, 8の字形の顆路パターンを示す相反性クリック15症例における顆頭の3次元動態を分析した。 顆路の屈曲と顆頭の速度パターソから, クリック発生前後の顆頭位を決定した。開口時におけるクリック発生前の顆頭位は, 咬頭嵌合位に対し, 前下内で平均4.3±2.37mmの距離にあり, 関節隆起後方斜面部に多くあった。クリック発生中の顆頭運動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 285 - 298
Main Authors 鈴木, 政弘, 石岡, 靖, 林, 豊彦, 野村, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 15.09.1992
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.4.285

Cover

More Information
Summary:相反性クリックは復位を伴う関節円板前方転位に関連することが知られている。したがって, クリック発生時における顆頭の動態は, 関節円板の転位状態を反映していると考えられる。しかし, その3次元動態に関しては, 測定の困難さから, いまだ十分に明らかにされていない。そこで, 8の字形の顆路パターンを示す相反性クリック15症例における顆頭の3次元動態を分析した。 顆路の屈曲と顆頭の速度パターソから, クリック発生前後の顆頭位を決定した。開口時におけるクリック発生前の顆頭位は, 咬頭嵌合位に対し, 前下内で平均4.3±2.37mmの距離にあり, 関節隆起後方斜面部に多くあった。クリック発生中の顆頭運動は, 前外方へ向かうものが多かった。これらは, 関節円板が前内方に転位することが多い事実に対応していると考えられた。また, 後方肥厚部の形状に関係する顆路の屈曲を, 咬頭嵌合位とクリック発生後の位置を結ぶ線分とクリック発生前の位置との間の距離で定量化し, 屈曲度と定義した。前方滑走運動時の屈曲度は, 平均0.8±0.29mmであった。 顆頭運動は関節円板の転位状態や形態を十分反映し, 顎関節内障の診断や予後の推測に役立つものと考えられる。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.4.285