乳児型原発性過蓚酸尿症1型の1歳男児例に対する生体肝腎複合移植の経験

生体部分肝移植と生体腎移植の肝腎複合移植を行った乳児型原発性過蓚酸尿症1型 (PH1) の1歳男児例を経験したので報告する。症例は, 生後6カ月時に体重増加不良と哺乳不良を主訴に受診し, 慢性腎不全に陥った乳児型PH1の診断を受けた。生後8カ月時に腹膜透析導入, 1歳5カ月時に父親をドナーとする生体部分肝移植, その後血液透析, そして1歳11カ月時に同じく父親をドナーとする生体腎移植を受けた。腎移植後9カ月経過したが, 移植肝腎機能はともに良好で順調な経過を辿っている。しかし, 血中・尿中蓚酸濃度は依然として高値であり, 移植腎への蓚酸カルシウムの沈着を防ぐ目的で多量の水分投与は必要な状態で...

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Published in日本腎臓学会誌 Vol. 48; no. 1; pp. 22 - 28
Main Authors 秋葉, 隆, 古江, 健樹, 和田, 尚弘, 服部, 元史, 中倉, 兵庫, 寺岡, 慧, 中島, 一朗, 伊藤, 克己, 甲斐, 耕太郎, 小川, 由英, 元吉, 八重子, 宮川, 三平, 甲能, 深雪, 近本, 裕子, 渕之上, 昌平, 北山, 浩嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本腎臓学会 25.01.2006
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ISSN0385-2385
1884-0728
DOI10.14842/jpnjnephrol1959.48.22

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Summary:生体部分肝移植と生体腎移植の肝腎複合移植を行った乳児型原発性過蓚酸尿症1型 (PH1) の1歳男児例を経験したので報告する。症例は, 生後6カ月時に体重増加不良と哺乳不良を主訴に受診し, 慢性腎不全に陥った乳児型PH1の診断を受けた。生後8カ月時に腹膜透析導入, 1歳5カ月時に父親をドナーとする生体部分肝移植, その後血液透析, そして1歳11カ月時に同じく父親をドナーとする生体腎移植を受けた。腎移植後9カ月経過したが, 移植肝腎機能はともに良好で順調な経過を辿っている。しかし, 血中・尿中蓚酸濃度は依然として高値であり, 移植腎への蓚酸カルシウムの沈着を防ぐ目的で多量の水分投与は必要な状態である。 乳児型PH1の治療においては, 蓚酸カルシウムの体内への沈着 (オキサローシス) を進行させないようにすることが重要であり, そのためには, 1) 早期診断, 2) 家族への十分な説明, 3) 肝腎複合移植の決断・実施とその成功, 4) 腎移植後の尿中・血中蓚酸濃度のモニタと十分な水分の補給, そして5) チーム医療, が必要であると考えられた。
ISSN:0385-2385
1884-0728
DOI:10.14842/jpnjnephrol1959.48.22