Assessment of dual chamber pacing with short atrioventricular intervals in patients with dilated cardiomyopathy
ペースメーカー治療の新しい適応として,拡張型心筋症に対する短い房室刺激間隔の右房・右室順次ペーシングが提唱され,心機能と予後の改善をもたらすことが報告されている.しかし,従来の徐脈や房室ブロックに対するペースメーカーの適応ではなく,短い房室刺激間隔で拡張型心筋症の心機能が改善するか否かについては疑問も多い.今回心プールシンチグラフィの平衡時マルチゲート法(順方向・逆方向収集法とsector analysis)を用いて,洞不全症候群を合併した拡張型心筋症12例で房室刺激間隔を変化させて左房および左室機能の変化を検討した.左室駆出分画,最大収縮速度,最大充満速度は右房ペーシングに比し,短い房室刺激...
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Published in | Shinzo Vol. 28; no. 10; pp. 790 - 799 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Japan Heart Foundation
15.10.1996
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Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.28.10_790 |
Cover
Summary: | ペースメーカー治療の新しい適応として,拡張型心筋症に対する短い房室刺激間隔の右房・右室順次ペーシングが提唱され,心機能と予後の改善をもたらすことが報告されている.しかし,従来の徐脈や房室ブロックに対するペースメーカーの適応ではなく,短い房室刺激間隔で拡張型心筋症の心機能が改善するか否かについては疑問も多い.今回心プールシンチグラフィの平衡時マルチゲート法(順方向・逆方向収集法とsector analysis)を用いて,洞不全症候群を合併した拡張型心筋症12例で房室刺激間隔を変化させて左房および左室機能の変化を検討した.左室駆出分画,最大収縮速度,最大充満速度は右房ペーシングに比し,短い房室刺激間隔(50msec)の右房・右室順次ペーシングで有意に低下し,また左房の収縮性も同様に悪化した.短い房室刺激間隔の右房・右室順次ペーシングで左室駆出分画が有意に低下する原因の1つに左脚ブロック型の心室内伝導による心室中隔の壁運動障害が考えられた.このような変化は拡張型心筋症ばかりでなく,正常心機能の症例にもみられた.拡張型心筋症の重症度にもよるが,短い房室刺激間隔の右房・右室順次ペーシングは心機能を必ずしも改善するとは限らず,拡張型心筋症におけるペーシング療法の適応に関しては,重症度や予後を含めて慎重であるべきである. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.28.10_790 |