染料熱転写用シアン色素の研究 (I)

染料熱転写記録方式は, 優れた色再現性と滑らかな階調再現性において, 最もハロゲン化銀カラー写真に近い存在として知られているが, 劣悪な耐光性と画像のにじみという大きな問題を有している。我々はこの問題に対し, アゾ色素と金属カチオンとのキレート形成反応を利用した,「キレート型染料熱転写方式」を開発した。本研究では色再現域を拡大するため, 分光吸収形状に優れるイミダゾール母核アゾメチン色素のキレート型染料熱転写材料への適用を検討した。検討の結果, イミダゾール母核アゾメチン色素でも, 特定の部分構造を導入することによりキレート形成し, 優れた色調と耐光性を示すことを見いだした。該母核色素はこのキ...

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Published in日本写真学会誌 Vol. 62; no. 5; pp. 377 - 384
Main Authors 朝武, 敦, 中村, 正樹, 杉野, 元昭, 木田, 修二, 阿部, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本写真学会 25.10.1999
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Summary:染料熱転写記録方式は, 優れた色再現性と滑らかな階調再現性において, 最もハロゲン化銀カラー写真に近い存在として知られているが, 劣悪な耐光性と画像のにじみという大きな問題を有している。我々はこの問題に対し, アゾ色素と金属カチオンとのキレート形成反応を利用した,「キレート型染料熱転写方式」を開発した。本研究では色再現域を拡大するため, 分光吸収形状に優れるイミダゾール母核アゾメチン色素のキレート型染料熱転写材料への適用を検討した。検討の結果, イミダゾール母核アゾメチン色素でも, 特定の部分構造を導入することによりキレート形成し, 優れた色調と耐光性を示すことを見いだした。該母核色素はこのキレート系では耐熱性に劣る欠点を有するが, 色素の電子状態がその安定性を支配しており, これを制御することで問題であった耐熱性が改良できることを見いだした。
ISSN:0369-5662
1884-5932
DOI:10.11454/photogrst1964.62.377