肝胆膵疾患におけるPIVKA-II測定の臨床的意義

肝細胞癌でのPIVKA-II (protein induced by vitamin K absence or antagonist-II) 生成機序を検討する為PIVKA-IIとビタミンK1, K2 (MK4, MK7) を測定した.肝細胞癌患者の血中ビタミンK濃度は正常人に比べ低下しておらず, むしろ肝硬変合併例では有意に増加していた (K1, MK4, K1+MK4+MK7).しかし, ビタミンKの投与でPIVKA-II値が減少しその陽性率も低下したことから肝細胞癌ではビタミンKの代謝異常や細胞内への移行障害の可能性が考えられた.膵胆道疾患ではPIVKA-II陽性例は全例PTBD (pe...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 1016 - 1021
Main Authors 門田, 守人, 後藤, 満一, 金井, 俊雄, 遠藤, 和喜雄, 森, 武貞, 梅下, 浩司, 左近, 賢人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.1990
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.23.1016

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Summary:肝細胞癌でのPIVKA-II (protein induced by vitamin K absence or antagonist-II) 生成機序を検討する為PIVKA-IIとビタミンK1, K2 (MK4, MK7) を測定した.肝細胞癌患者の血中ビタミンK濃度は正常人に比べ低下しておらず, むしろ肝硬変合併例では有意に増加していた (K1, MK4, K1+MK4+MK7).しかし, ビタミンKの投与でPIVKA-II値が減少しその陽性率も低下したことから肝細胞癌ではビタミンKの代謝異常や細胞内への移行障害の可能性が考えられた.膵胆道疾患ではPIVKA-II陽性例は全例PTBD (percutaneous transhepatic biliary drainage) 施行例で, PIVKA-IIの増加にはビタミンK欠乏の他, 閉塞性黄疸による肝障害 (ビタミンK代謝異常) も関与していると考えられた.閉塞性黄疸と異なり肝細胞癌のビタミンK代謝異常は癌が持つ特異性の一つと考えられ, PIVKA-IIによる肝細胞癌の診断にはビタミンKの非投与を確認し, また投与されている場合はそれを考慮して評価することが大切である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.23.1016