A case with left ventricular apical ballooning developed in a few minutes after injection of epinephrine

症例は62歳の女性.耳鼻咽喉科手術中,耳後部に約0.02mgのエピネフリンを局所注射した直後より収縮期血圧210mmHg,心拍数130回/分以上に上昇し,約2分後に心室頻拍様の心電図変化と呼吸状態の悪化を生じた.手術終了直後の胸部X線写真にて肺水腫を認め,心電図にてST-T変化,さらに心臓超音波検査にて著しい壁運動低下を認めたため,急性心筋梗塞を疑い緊急冠動脈造影を施行した.しかし冠動脈に有意狭窄病変は認めず,左室造影にて心尖部の風船様拡張と壁運動低下および心基部の過収縮を認め,たこつぼ心筋障害と診断した.その後うっ血性心不全は順調に回復し,発症約40時間後には左室壁運動異常も正常化した.発症...

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Published inShinzo Vol. 37; no. 8; pp. 653 - 659
Main Authors Shiga, Koji, Kohno, Hiroyuki, Yutaka, Kotaro, Yano, Shingo, Isodono, Koji, Uraoka, Maki
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japan Heart Foundation 15.08.2005
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.37.8_653

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Summary:症例は62歳の女性.耳鼻咽喉科手術中,耳後部に約0.02mgのエピネフリンを局所注射した直後より収縮期血圧210mmHg,心拍数130回/分以上に上昇し,約2分後に心室頻拍様の心電図変化と呼吸状態の悪化を生じた.手術終了直後の胸部X線写真にて肺水腫を認め,心電図にてST-T変化,さらに心臓超音波検査にて著しい壁運動低下を認めたため,急性心筋梗塞を疑い緊急冠動脈造影を施行した.しかし冠動脈に有意狭窄病変は認めず,左室造影にて心尖部の風船様拡張と壁運動低下および心基部の過収縮を認め,たこつぼ心筋障害と診断した.その後うっ血性心不全は順調に回復し,発症約40時間後には左室壁運動異常も正常化した.発症にカテコラミンの関与が疑われる点,また分単位のきわめて短い時間経過で発症したと考えられる点など,たこつぼ心筋障害の成因や発症時の経過を検討するうえで貴重な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.8_653