赤芽球癆および肺癌を合併した浸潤型胸腺腫の1例

症例は71歳男性. 眩暈, 全身倦怠感を主訴に来院. 著明な貧血と左前縦隔腫瘤陰影および右下葉結節陰影を認め入院した. 縦隔腫瘤陰影は経皮的生検で胸腺腫, 右下葉結節陰影は経気管支鏡的擦過細胞診で非小細胞癌と診断した. 貧血は正球性正色素性貧血であり, 骨髄では赤芽球系細胞を認めず赤芽球癆と診断した. 胸腺腫切除および拡大胸腺摘除術を施行し, 同時に肺癌に対して右下葉切除術を施行した. 病理学的に胸腺腫は被膜外の脂肪組織への浸潤がみられたため放射線療法を実施した. 赤芽球癆は胸腺摘出により改善は認められなかったがステロイド併用により軽快した. 手術後約2年を経過後も, 貧血はなく, 胸腺腫,...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 236 - 240
Main Authors 内田, 義之, 角, 昌晃, 松村, 壯, 二宮, 浩樹, 大津, 格, 佐藤, 浩昭, 長谷川, 鎮雄, 森島, 祐子, 井上, 雅樹, 大塚, 盛男
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.02.1996
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.34.236

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Summary:症例は71歳男性. 眩暈, 全身倦怠感を主訴に来院. 著明な貧血と左前縦隔腫瘤陰影および右下葉結節陰影を認め入院した. 縦隔腫瘤陰影は経皮的生検で胸腺腫, 右下葉結節陰影は経気管支鏡的擦過細胞診で非小細胞癌と診断した. 貧血は正球性正色素性貧血であり, 骨髄では赤芽球系細胞を認めず赤芽球癆と診断した. 胸腺腫切除および拡大胸腺摘除術を施行し, 同時に肺癌に対して右下葉切除術を施行した. 病理学的に胸腺腫は被膜外の脂肪組織への浸潤がみられたため放射線療法を実施した. 赤芽球癆は胸腺摘出により改善は認められなかったがステロイド併用により軽快した. 手術後約2年を経過後も, 貧血はなく, 胸腺腫, 肺癌の再発も認められていない. 胸腺腫には重症筋無力症, 赤芽球癆などの疾患の合併が高率であることが知られている. 本例の如く, 胸腺腫に肺癌を同時に合併した例は稀であるが, 胸腺腫の悪性腫瘍合併について若干の文献的考察を加え報告した.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.34.236