1996年梅雨期におけるイネウンカの中国浙江省富陽市への飛来状況

1. 1996年梅雨期に,中国浙江省富陽市所在の中国水稲研究所でイネウンカの飛来を調査し,熊本県農業研究センターで記録された海外飛来と比較しつつ,華中東部におけるウンカの飛来に関連した気象要因を検討した。 2. 富陽では,6月上旬~7月上旬に,ウンカの飛来を示唆する7次の誘殺ピークがあった。その内,6月下旬~7月上旬に,セジロウンカを主体とする3波の多飛来があり,ほぼ同時期に熊本にも飛来した。 3. 梅雨前線が大陸東部で北緯30~35度に北上し,その上に温帯低気圧が発生した時期に,ウンカが富陽に飛来した。前線上の低気圧が,華中東部から九州北部,対馬海峡に東進した6月下旬~7月上旬には,熊本にも...

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Published in九州病害虫研究会報 Vol. 43; pp. 77 - 81
Main Authors 寒川, 一成, 高橋, 明彦, 唐, 健, 朱, 敏, 胡, 国文, 清田, 洋次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州病害虫研究会 15.11.1997
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Summary:1. 1996年梅雨期に,中国浙江省富陽市所在の中国水稲研究所でイネウンカの飛来を調査し,熊本県農業研究センターで記録された海外飛来と比較しつつ,華中東部におけるウンカの飛来に関連した気象要因を検討した。 2. 富陽では,6月上旬~7月上旬に,ウンカの飛来を示唆する7次の誘殺ピークがあった。その内,6月下旬~7月上旬に,セジロウンカを主体とする3波の多飛来があり,ほぼ同時期に熊本にも飛来した。 3. 梅雨前線が大陸東部で北緯30~35度に北上し,その上に温帯低気圧が発生した時期に,ウンカが富陽に飛来した。前線上の低気圧が,華中東部から九州北部,対馬海峡に東進した6月下旬~7月上旬には,熊本にも飛来が波及した。 4. 6月下旬~7月上旬の飛来盛期に,富陽および熊本を起点とする850hPa面の気流の後退流跡線は,それぞれ24~36時間および36~48時間で,北緯25度以南の華南水稲二期作地帯に到達した。 5. これらの事実から,梅雨前線の位置と低気圧の発達・東進は,華中東部~日本におけるウンカの飛来を指標する気象要因と思われた。
ISSN:0385-6410
1884-0035
DOI:10.4241/kyubyochu.43.77