A case of atrial septal aneurysm associated with atrial septal defect
症例は65歳男性で心疾患の既往なし.昭和63年5月より労作時疲労感が出現し通院中の泌尿器科で胸部X線に異常を指摘され当科受診.受診時軽度の心不全状態で,胸部X線上心拡大と肺動脈拡張を,心電図でIRBBB,左房負荷を認めた.心音図で4LSBで汎収縮期雑音を認めた.II音は軽度亢進を認めたが分裂はなかった.断層心エコー図では右室の拡大と卵円窩部に限局する心房中隔瘤を認めた.心房中隔に欠損孔は確認されず,Mモード上心室中隔の奇異性運動も認めなかった.右房造影で瘤は右房内陰影欠損として認められ,右心カテーテルでは肺高血圧(平均肺動脈圧36mmHg)があり,軽度の左右および右左シャントが示唆された。心エ...
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Published in | Shinzo Vol. 23; no. 7; pp. 757 - 762 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
Japan Heart Foundation
15.07.1991
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.23.7_757 |
Cover
Summary: | 症例は65歳男性で心疾患の既往なし.昭和63年5月より労作時疲労感が出現し通院中の泌尿器科で胸部X線に異常を指摘され当科受診.受診時軽度の心不全状態で,胸部X線上心拡大と肺動脈拡張を,心電図でIRBBB,左房負荷を認めた.心音図で4LSBで汎収縮期雑音を認めた.II音は軽度亢進を認めたが分裂はなかった.断層心エコー図では右室の拡大と卵円窩部に限局する心房中隔瘤を認めた.心房中隔に欠損孔は確認されず,Mモード上心室中隔の奇異性運動も認めなかった.右房造影で瘤は右房内陰影欠損として認められ,右心カテーテルでは肺高血圧(平均肺動脈圧36mmHg)があり,軽度の左右および右左シャントが示唆された。心エコー図上,瘤は通常は左房から右房に突出し,吸気初期には拡張末期,収縮早期に二相性に左房内に反転した.ジギタリス剤,利尿剤による治療約1年後には左房内への反転は減少し右房圧の低下が間接的に示唆された.同時期の2D-ドップラーで瘤の中央から右房に向かう血流が検出された.以上の所見より肺高血圧を伴う二次口型心房中隔欠損症に心房中隔瘤が合併したものと考えた.欠損孔は断層エコーで確認されず,一次中隔の吸収が異常位置で生じ卵円窩部心房中隔が網状となり脆弱性を帯びて瘤が形成されたものと推察した.本例は心房中隔欠損症を伴う心房中隔瘤の発生要因を考えるうえで非常に示唆に富む症例であり瘤の運動パターンの解析および若干の文献的考察を加えた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.23.7_757 |