有機陰イオンの肝細胞摂取機構の研究 無アルブミンラット(NAR)の肝摂取機構

血清中のアルブミンが有機陰イオンの肝摂取にどのような役割を果たしているか調べる目的で無アルブミン血症ラット(NAR)を用いてBSP静注後のBSPの胆汁排泄率につき検討した.その結果,0.5mg BSP/100g体重投与群では,SDラットの場合,15分間の胆汁排泄率は投与量に対して70.7±4.9%であり,NARでは53.7±1.4%と減少傾向を示した.また0.25mg BSP/100g体重投与群でも同様の傾向が認められた. NARにアルブミンとBSPを投与し,BSPの胆汁排泄率の変化につき検討した.その結果,胆汁排泄率に変化を認めなかった. 以上の結果より,BSPなどの有機陰イオンの特異的肝摂...

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Published in肝臓 Vol. 25; no. 12; pp. 1567 - 1572
Main Authors 山田, 英夫, 丹野, 宗彦, 長瀬, すみ, 永島, 淳一, 村木, 俊雄, 千葉, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.12.1984
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.25.1567

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Summary:血清中のアルブミンが有機陰イオンの肝摂取にどのような役割を果たしているか調べる目的で無アルブミン血症ラット(NAR)を用いてBSP静注後のBSPの胆汁排泄率につき検討した.その結果,0.5mg BSP/100g体重投与群では,SDラットの場合,15分間の胆汁排泄率は投与量に対して70.7±4.9%であり,NARでは53.7±1.4%と減少傾向を示した.また0.25mg BSP/100g体重投与群でも同様の傾向が認められた. NARにアルブミンとBSPを投与し,BSPの胆汁排泄率の変化につき検討した.その結果,胆汁排泄率に変化を認めなかった. 以上の結果より,BSPなどの有機陰イオンの特異的肝摂取には,アルブミンは本質的な役割は果たしておらず,またWeisigerらのいうアルブミンリセプタの仮説は否定的であることが推察された.むしろリガンドのmembrane carrier proteinが重要な役割を果していると推察された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.25.1567