ノルアドレナリン産生頸動脈小体腫瘍の1例

機能性頸動脈小体腫瘍は非常に稀な疾患であり, 我々が渉猟したかぎり本邦および諸外国において14例の報告をみるのみである。今回我々はノルアドレナリン産生頸動脈小体腫瘍を経験したので報告する。 症例は25歳男性, 主訴は左頸部腫瘤, 左後頸部痛。起始経過は昭和61年頃から左後頸部痛, 左頸部腫瘤に気付き, 脳神経外科を受診したが異常所見は認められず, 患者自身が腫瘤に触れることにより後頸部痛が増悪することに気付いたため, 頸部腫瘤と後頸部痛の関連性の精査目的のため, 平成2年3月16日当科に紹介された。超音波, CT, MRI, 動脈造影, 血中および, 尿中のカテコールアミンとその代謝産物である...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 41; no. 4; pp. 374 - 380
Main Authors 梅澤, 祐二, 三浦, けい, 矢部, 武, 清水, 佐和道, 加藤, 孝邦, 千葉, 伸太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.1998
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.41.374

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Summary:機能性頸動脈小体腫瘍は非常に稀な疾患であり, 我々が渉猟したかぎり本邦および諸外国において14例の報告をみるのみである。今回我々はノルアドレナリン産生頸動脈小体腫瘍を経験したので報告する。 症例は25歳男性, 主訴は左頸部腫瘤, 左後頸部痛。起始経過は昭和61年頃から左後頸部痛, 左頸部腫瘤に気付き, 脳神経外科を受診したが異常所見は認められず, 患者自身が腫瘤に触れることにより後頸部痛が増悪することに気付いたため, 頸部腫瘤と後頸部痛の関連性の精査目的のため, 平成2年3月16日当科に紹介された。超音波, CT, MRI, 動脈造影, 血中および, 尿中のカテコールアミンとその代謝産物であるバニリルマンデル酸 (VMA) 検査から機能性頸動脈小体腫瘍と診断し, 6月7日, 手術を施行した。術中, 腫瘍に対する操作により著明な血圧の変動が認められた。頸動脈の再建も考慮し手術に臨んだがいわゆるwhite lineの層で腫瘍を完全に剥離摘出できた。現在術後7年を経過するが再発等は認めていない。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.41.374