心尖部肥大型心筋症と心房中隔欠損症の合併例 心内膜心筋生検組織と心尖部術中採取組織の比較

心房中隔欠損症に心尖部肥大型心筋症を合併した症例の右心内膜生検組織と,心尖肥厚部の術中採取組織を比較検討した.症例は55才,女性.主訴は心雑音と動悸.家族歴. 20才頃より動悸を自覚. 2音の固定性分裂, 3 LSBに駆出性収縮期雑音,不完全右脚ブロック,心カテにてO2 step upが認められ, ASDと診断された.加えて,心電図でV4~6のR波高電位とT陰性化,心エコー,左室造影にて心尖部の肥厚も認められ,心尖部肥大型心筋症を合併した症例と考えた.心生検組織は,肥大,錯綜配列ともに軽度であつたが,術中採取組織は,中等度の肥大,著明な錐綜配列を示し,心尖肥厚部には錯綜配列が限局している可能性...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 74; no. 12; pp. 1752 - 1758
Main Authors 足達, 教, 田中, 裕幸, 山下, 良直, 緒方, 雅彦, 寺澤, 正壽, 古賀, 義則, 戸嶋, 裕徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.12.1985
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Summary:心房中隔欠損症に心尖部肥大型心筋症を合併した症例の右心内膜生検組織と,心尖肥厚部の術中採取組織を比較検討した.症例は55才,女性.主訴は心雑音と動悸.家族歴. 20才頃より動悸を自覚. 2音の固定性分裂, 3 LSBに駆出性収縮期雑音,不完全右脚ブロック,心カテにてO2 step upが認められ, ASDと診断された.加えて,心電図でV4~6のR波高電位とT陰性化,心エコー,左室造影にて心尖部の肥厚も認められ,心尖部肥大型心筋症を合併した症例と考えた.心生検組織は,肥大,錯綜配列ともに軽度であつたが,術中採取組織は,中等度の肥大,著明な錐綜配列を示し,心尖肥厚部には錯綜配列が限局している可能性が示唆された.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.74.1752