定常ブラックホールの時空構造 : 唯一性定理と歪んだブラックホール (<特集>一般相対論70年)

星の重力崩壊によって形成されたブラックホールは次第に定常状態に落ち着いていく. 定常ブラックホールは簡明な時空構造を持っている. まず, そのトポロジーや対称性について解説する. 次に, 孤立しているブラックホール解の唯一性定理を紹介する. アインシュタイン・マクスウェル方程式を非線形シグマ模型の観点からとらえることによって, その定理は比較的容易に証明される. 最後に, 他のブラックホールや周囲の物質と相互作用しているブラックホールを考える. その解は逆散乱問題法によって導出される. 歪んだブラックホールと呼ばれる新しい分野はブラックホールの多体問題や天体物理の対象としても興味があり, 今後...

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Published in日本物理学会誌 Vol. 40; no. 8; pp. 610 - 618
Main Author 冨松, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本物理学会 05.08.1985
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ISSN0029-0181
2423-8872
DOI10.11316/butsuri1946.40.610

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Summary:星の重力崩壊によって形成されたブラックホールは次第に定常状態に落ち着いていく. 定常ブラックホールは簡明な時空構造を持っている. まず, そのトポロジーや対称性について解説する. 次に, 孤立しているブラックホール解の唯一性定理を紹介する. アインシュタイン・マクスウェル方程式を非線形シグマ模型の観点からとらえることによって, その定理は比較的容易に証明される. 最後に, 他のブラックホールや周囲の物質と相互作用しているブラックホールを考える. その解は逆散乱問題法によって導出される. 歪んだブラックホールと呼ばれる新しい分野はブラックホールの多体問題や天体物理の対象としても興味があり, 今後の研究の発展が期待される.
ISSN:0029-0181
2423-8872
DOI:10.11316/butsuri1946.40.610