日本病理剖検輯報に基づく原発性胆汁性肝硬変の統計的観察 昭和59~62年間の全国PBC剖検例

PBCの末期の病像を明らかにするため最近4年間(昭和59~62年)の日本病理剖検輯報に報告されたPBC例を集計し,統計的に観察した.PBCの剖検は,全剖検症例(159,190例)中,166例(0.10%)あり,男女比は1:7.3であった.剖検時の年齢は34~85歳,そのM±SDは57.6±11.1歳と男女とも50歳代が最も多く(32.9%),40~69歳の症例が82.3%を占める.大多数の症例は門脈圧亢進症や黄疸を合併した肝硬変期にある.肝重量は470~2,400gの間に分布し,萎縮型肝硬変像を呈する例が少くない.肝細胞癌の合併は,7例(4.22%)に見られる.その合併率は,この4年間,1年毎...

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Published in肝臓 Vol. 32; no. 10; pp. 897 - 904
Main Authors 大西, 三朗, 山本, 泰猛, 円山, 英昭, 岩崎, 信二, 原, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.10.1991
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.32.897

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Summary:PBCの末期の病像を明らかにするため最近4年間(昭和59~62年)の日本病理剖検輯報に報告されたPBC例を集計し,統計的に観察した.PBCの剖検は,全剖検症例(159,190例)中,166例(0.10%)あり,男女比は1:7.3であった.剖検時の年齢は34~85歳,そのM±SDは57.6±11.1歳と男女とも50歳代が最も多く(32.9%),40~69歳の症例が82.3%を占める.大多数の症例は門脈圧亢進症や黄疸を合併した肝硬変期にある.肝重量は470~2,400gの間に分布し,萎縮型肝硬変像を呈する例が少くない.肝細胞癌の合併は,7例(4.22%)に見られる.その合併率は,この4年間,1年毎に上昇し,とくに男性PBC例は女性例に比して肝細胞癌合併率が高い.自己免疫疾患の合併は少い.PBC剖検例では,臨床診断と病理解剖学的診断の不一致例がなお相当数あり,末期PBCの病理解剖学的診断基準の確立が望まれる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.32.897