慢性腎不全患者におけるcalcitriolの血漿蛋白結合に関する研究

活性型ビタミンD3であるcalcitriolの蛋白結合率を, 健常人および慢性腎不全患者各6名の血清を用いて比較検討した. 薬物濃度50pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で97.93±0.18%, 保存期患者で98.03±0.25%, HD施行患者で97.30±0.19%であった. 薬物濃度200pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で96.11±0.56%, 保存期患者で96.28±0.42%, HD施行患者で95.11±0.89%であった. Calcitriol濃度200pg/mlにおけるその蛋白結合率は, 50pg/mlにおける蛋白結合...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 12; pp. 1771 - 1775
Main Authors 深沢, 英雄, 朝長, 文弥, 黒山, 政一, 中山, 幸子, 熊野, 和雄, 酒井, 糾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.12.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1771

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Summary:活性型ビタミンD3であるcalcitriolの蛋白結合率を, 健常人および慢性腎不全患者各6名の血清を用いて比較検討した. 薬物濃度50pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で97.93±0.18%, 保存期患者で98.03±0.25%, HD施行患者で97.30±0.19%であった. 薬物濃度200pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 健常人で96.11±0.56%, 保存期患者で96.28±0.42%, HD施行患者で95.11±0.89%であった. Calcitriol濃度200pg/mlにおけるその蛋白結合率は, 50pg/mlにおける蛋白結合率より若干低値を示したが, 健常人および保存期, HD施行の慢性腎不全患者の蛋白結合率は, calcitriol濃度50pg/mlおよび200pg/mlにおいて顕著な差は認められなかった. 血液透析前後における検討において, 薬物濃度50pg/mlにおけるcalcitriolの蛋白結合率は, 透析開始直前で97.30±0.19%, 透析終了直後で97.27±0.59%で, 薬物濃度200pg/mlにおけるその蛋白結合率は, 透析開始直前で95.11±0.89%, 透析終了直後で95.10±0.47%で, いずれも有意な差は認められなかった. 通常, 薬物の体内動態の検討に際しては, その蛋白結合率の変動に関しても十分留意する必要がある. しかし, calcitriolの蛋白結合率は健常人および慢性腎不全患老で殆ど変化しないため, 慢性腎不全患者におけるcalcitriolの体内動態の検討に際しては, その蛋白結合率の変動はあまり考慮する必要はなく, 総calcitriol濃度を指標とすれば良いと考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1771