HCV抗体陽性肝硬変に合併した肝原発扁平上皮癌の1例
症例は66歳,男性.1986年よりHCV抗体陽性肝硬変(以下,C型肝硬変)として経過観察中,1995年6月黄疸出現し入院.入院時眼球結膜黄染・腹水・下腿浮腫を認め,肝を正中線上に4横指触知した.検査所見はT. Bil 2.8mg/dl, PT 43%, AST 115IU/l, ALT 84IU/l, AFP 16ng/dl, PIVKA-II 0.07AU/dl, CA 19-9 4,170U/mlであった.腹部超音波検査にて肝左葉に未梢の肝内胆管拡張を伴った約5cmの高エコー腫瘤が描出され,dynamic CTでは腫瘤は早期相で辺縁のみ増強効果が認められた.胆管細胞癌と考え治療したが,第3...
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Published in | 肝臓 Vol. 37; no. 11; pp. 659 - 664 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
25.11.1996
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.37.659 |
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Summary: | 症例は66歳,男性.1986年よりHCV抗体陽性肝硬変(以下,C型肝硬変)として経過観察中,1995年6月黄疸出現し入院.入院時眼球結膜黄染・腹水・下腿浮腫を認め,肝を正中線上に4横指触知した.検査所見はT. Bil 2.8mg/dl, PT 43%, AST 115IU/l, ALT 84IU/l, AFP 16ng/dl, PIVKA-II 0.07AU/dl, CA 19-9 4,170U/mlであった.腹部超音波検査にて肝左葉に未梢の肝内胆管拡張を伴った約5cmの高エコー腫瘤が描出され,dynamic CTでは腫瘤は早期相で辺縁のみ増強効果が認められた.胆管細胞癌と考え治療したが,第38病日に肝不全にて死亡した.剖検所見では,肝左葉に約5cmの被膜を伴わない白色調の割面を呈する腫瘍を認め,組織学的には扁平上皮癌であった.背景肝は乙型肝硬変であった.肝原発扁平上皮癌は極めて稀な疾患で,特にC型肝硬変に合併した症例の報告は本症例が最初である. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.37.659 |