小児滲出性中耳炎治療後の耳管の線毛性排泄機能の変化

換気チューブ留置術を施行した小児滲出性中耳炎例に対して, サッカリンを用いて耳管の線毛性排泄機能検査を行った。同時に粘液線毛輸送能の改善に有効と言われるカルボシステインを投与し, 耳管の排泄機能の改善程度を検討した。対象は, 換気チューブ留置術を施行した52症例で, うち38例にカルボシステインを1日30mg/kg投与し, 投与前後のサッカリン時間を測定した。14例は非投与群として, 初回測定後1ヵ月目に再度検査を施行し, カルボシステイン投与群と比較検討した。 全体として耳管の線毛性排泄機能は比較的早期から回復するが, 過去に中耳含気腔内に加わった炎症の程度による影響を受けていると考えられた...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 39; no. 1; pp. 69 - 76
Main Authors 三谷, 幸恵, 辻, 富彦, 濱田, 幸雄, 菊池, 康隆, 江崎, 史朗, 山口, 展正, 青木, 和博, 森山, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.1996
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Summary:換気チューブ留置術を施行した小児滲出性中耳炎例に対して, サッカリンを用いて耳管の線毛性排泄機能検査を行った。同時に粘液線毛輸送能の改善に有効と言われるカルボシステインを投与し, 耳管の排泄機能の改善程度を検討した。対象は, 換気チューブ留置術を施行した52症例で, うち38例にカルボシステインを1日30mg/kg投与し, 投与前後のサッカリン時間を測定した。14例は非投与群として, 初回測定後1ヵ月目に再度検査を施行し, カルボシステイン投与群と比較検討した。 全体として耳管の線毛性排泄機能は比較的早期から回復するが, 過去に中耳含気腔内に加わった炎症の程度による影響を受けていると考えられた。カルボシステインの投与有無に伴う比較では, 投与群で明らかにサッカリン時間の改善が認められ, 投与期間が長期に及ぶほど効果が明らかで, 耳管の線毛性排泄機能の改善に有用であることが示唆された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.39.69