糖尿病性腎不全血液透析患者での心房性Na利尿ペプチド (ANP) の反応性異常

慢性透析患者では, ドライウェイト (DW) の設定等を含めた体液量管理に心房性Na利尿ペプチド (ANP) が有用である可能性が示されている. しかし, 糖尿病 (DM) 性腎不全の血液透析 (HD) 患者においての, ANP測定の体液量管理における臨床的有用性は検討されていない. そこで, この点を明らかにする目的でDM性腎不全HD患者において, ANPの動態を検討し以下の結果を得た. 1) DM群および非糖尿病 (non-DM) 性腎不全HD患者の両群において, HD前ANP値, HD後ANP値, またHD前後のANPの低下率には差を認めない. 2) non-DM群において, HDによる...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 11; pp. 1671 - 1675
Main Authors 松井, 香與子, 松本, 博, 宇都宮, 保典, 浜口, 明彦, 酒井, 紀, 友成, 治夫, 栗山, 哲, 木下, 訓光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.11.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1671

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Summary:慢性透析患者では, ドライウェイト (DW) の設定等を含めた体液量管理に心房性Na利尿ペプチド (ANP) が有用である可能性が示されている. しかし, 糖尿病 (DM) 性腎不全の血液透析 (HD) 患者においての, ANP測定の体液量管理における臨床的有用性は検討されていない. そこで, この点を明らかにする目的でDM性腎不全HD患者において, ANPの動態を検討し以下の結果を得た. 1) DM群および非糖尿病 (non-DM) 性腎不全HD患者の両群において, HD前ANP値, HD後ANP値, またHD前後のANPの低下率には差を認めない. 2) non-DM群において, HDによる体重減少率 (ΔBW) とANPの低下率 (ΔANP) との間に良好な相関を認めた (r=0.887, n=12 p<0.001). 一方, DM群においてはこの関係は認められなかった. また, non-DM群において, ΔBWとANPの減少値 (絶対値) との間にも良好な相関を認めた (r=0.886, n=12 p<0.001). 一方, DM群においてはこの関係は認められなかった. 以上から, HDのDW設定などの体液量管理の臨床的指標の一つとしてANPを用いることは, non-DM患者においては有用であるが, DM患者では不適切であると考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1671