透析患者の腎性骨異栄養症に対するカルシトニン投与の効果についての検討 dual energy X-ray absorptiometry (DEXA) による骨塩量測定

透析患者に合併する腎性骨異栄養症61例 (男32, 女29例, 平均年齢51.1±12.8歳, 透析歴10.4±4.4年) を対象に, 合成ウナギカルシトニン (エルカトニン) 40単位を透析毎に12か月間投与し, その効果を骨塩量の変化を中心に検討した. 骨塩量測定はX線骨密度測定装置 (米国HOLOGIC社, QDR-1000/W) を用いdual energy X-ray absorptiometry (DEXA) 法により頭頂骨および第3腰椎について測定した. エルカトニン投与により皮質骨である頭頂骨骨塩量には増加傾向がみられたが, 海綿骨である腰椎には明らかな変化は認められなかった....

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 11; pp. 1691 - 1696
Main Authors 工藤, 寛昭, 内田, 乾爾, 塚川, 光直, 中川, 昌之, 国東, 公明, 高田, 重矩, 石原, 基一, 溝口, 裕昭, 野村, 芳雄, 西田, 勉, 奈須, 伸吉, 猿渡, 研一, 古城, 正人, 清瀬, 隆, 友, 雅司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.11.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1691

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Summary:透析患者に合併する腎性骨異栄養症61例 (男32, 女29例, 平均年齢51.1±12.8歳, 透析歴10.4±4.4年) を対象に, 合成ウナギカルシトニン (エルカトニン) 40単位を透析毎に12か月間投与し, その効果を骨塩量の変化を中心に検討した. 骨塩量測定はX線骨密度測定装置 (米国HOLOGIC社, QDR-1000/W) を用いdual energy X-ray absorptiometry (DEXA) 法により頭頂骨および第3腰椎について測定した. エルカトニン投与により皮質骨である頭頂骨骨塩量には増加傾向がみられたが, 海綿骨である腰椎には明らかな変化は認められなかった. 骨塩量の変化を投与前後の変化率で検討すると, とくに頭頂骨において投与前の骨塩量減少が高度の群, PTH値が高値の群において有意の骨塩量変化率の上昇が認められたが透析歴別の変化率については有意の変動は認められなかった. またエルカトニン投与によりALP, OH-Pro値に有意の減少がみられたがPTH, ALPisoには有意の変化はみられなかった. 以上の成績より透析患者の骨塩量変化は皮質骨にみられやすい傾向が示唆され, さらにエルカトニンによる骨吸収抑制効果ないし骨塩量増加作用が示唆された. 一方, DEXA法による骨塩量測定は腎性骨異栄養症の診断, 治療効果の把握に有用な方法と考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1691