門脈圧亢進症患者における静脈血および門脈血中のEndothelin-1測定の臨床的意義

門脈圧亢進症 (PH) の病態におけるEndothelin-1 (ET) の関与を検討するため, PH患者37例 (肝硬変症LC: 16例, 特発性門脈圧亢進症IPH: 13例, 原発性胆汁性肝硬変症PBC: 8例) の静脈血および門脈血ET濃度を酵素免疫法にて測定した. 静脈血ET (ETv) 濃度はPH患者で健常者に比し高い傾向にあり, 門脈血ET (ETp) 濃度はIPHで他肝疾患に比し有意に低値であった. いずれの疾患でもETv濃度とETp濃度との間には相関は認められず, ETv濃度とETp濃度は門脈圧 (PVP) 値と相関しなかった. LCでETp濃度と血中総ビリルビン値との間に,...

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Published in肝臓 Vol. 41; no. 12; pp. 789 - 798
Main Authors 小島, 俊彦, 黒田, 聖仁, 小原, 勝敏, 高木, 徹, 海瀬, 俊治, 大平, 弘正, 粕川, 禮司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.12.2000
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.41.789

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Summary:門脈圧亢進症 (PH) の病態におけるEndothelin-1 (ET) の関与を検討するため, PH患者37例 (肝硬変症LC: 16例, 特発性門脈圧亢進症IPH: 13例, 原発性胆汁性肝硬変症PBC: 8例) の静脈血および門脈血ET濃度を酵素免疫法にて測定した. 静脈血ET (ETv) 濃度はPH患者で健常者に比し高い傾向にあり, 門脈血ET (ETp) 濃度はIPHで他肝疾患に比し有意に低値であった. いずれの疾患でもETv濃度とETp濃度との間には相関は認められず, ETv濃度とETp濃度は門脈圧 (PVP) 値と相関しなかった. LCでETp濃度と血中総ビリルビン値との間に, PBCでETvあるいはETp濃度とICGR15との間に有意な負の相関が認められた. 内視鏡的硬化療法前後でPVP低下群ではETp濃度は低下しLCではETp濃度とPVP値の低下傾向を, PBCではETp濃度とPVP値の上昇傾向を認めた. 以上より, ETp濃度はPHの病態に深く関与すると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.41.789