日本脳炎ワクチン第1期を3歳未満で完了した児における第2期接種時の中和抗体価の持続

「要旨」「目的」: 日本小児科学会は, 2016年2月に日本脳炎罹患リスクが高い者に対して生後6カ月からのワクチン接種を推奨した. その後, 第1期接種を生後6カ月から開始する児が多くなったことから, 第2期接種までの抗体価の持続を評価した. 「対象および方法」: 日本脳炎ワクチンの第1期3回接種を3歳未満で完了した児(3歳未満群30名)および3歳以上で完了した児(3歳以上群31名: 対照群)を対象に, 第2期のワクチン接種前後で採血し, 日本脳炎に対する中和抗体価を測定した. 「結果」: 第2期接種前の抗体陽性率は, 3歳未満群が96.7%(29/30名), 3歳以上群が100%(31/31...

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Published in新薬と臨牀 Vol. 74; no. 3; pp. 247 - 257
Main Authors 宇野信吾, 服部愛子, 杉之原佳子, 江上公康, 島田康, 池澤滋, 坂口正実, 工藤弘志, 吉本寿美, 松岡睦美, 中野宏俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医薬情報研究所 10.03.2025
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ISSN0559-8672

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Summary:「要旨」「目的」: 日本小児科学会は, 2016年2月に日本脳炎罹患リスクが高い者に対して生後6カ月からのワクチン接種を推奨した. その後, 第1期接種を生後6カ月から開始する児が多くなったことから, 第2期接種までの抗体価の持続を評価した. 「対象および方法」: 日本脳炎ワクチンの第1期3回接種を3歳未満で完了した児(3歳未満群30名)および3歳以上で完了した児(3歳以上群31名: 対照群)を対象に, 第2期のワクチン接種前後で採血し, 日本脳炎に対する中和抗体価を測定した. 「結果」: 第2期接種前の抗体陽性率は, 3歳未満群が96.7%(29/30名), 3歳以上群が100%(31/31名)であり, 第2期接種により陰性者は陽転し, 両群すべての児に抗体価の上昇が認められた. 平均中和抗体価は, 第2期接種前後ともに3歳以上群がわずかに高値を示した. また, 第1期3回目接種から第2期接種までの期間が長くなるほど抗体価は低下する傾向を示した. 「結論」: 3歳未満群のほとんどが第2期接種時期まで中和抗体価の持続がみられ, 陰性者も第2期接種で陽転したことから, 日本脳炎罹患リスクの高い児は, 生後6カ月からの第1期接種開始が望ましいと考えられた.
ISSN:0559-8672