(I-P1-8)摂食嚥下障害に対する専門的入院リハ加療終了後の長期予後について-当施設22症例の検討

【目的】摂食嚥下障害入院患者に対する専門的リハ終了後の長期予後を調査分析し, 予後改善への問題提起を図る. 【対象】2004年4月以降, 入院時摂食嚥下障害を有し当施設で専門的リハを施行, 退院後180日以上を経た脳損傷29症例のうち情報が得られた22症例. 【方法】カルテ調査とアンケート・聞き取り調査を施行し, 入院加療時の基礎データ(年齢・性別・疾患・損傷部位・嚥下障害のタイプ・肺炎発症の有無等)を背景に, 退院時/調査時の栄養摂取形態・藤島グレード, 等を中心に比較検討した. 【結果】入院加療時データ:発症時年齢60.3±14.3才, 男:女=16:6, 疾患;脳梗塞10・脳出血5・脳梗...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 344
Main Authors 大賀優, 坂居隆, 並木美恵子, 吉永勝訓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】摂食嚥下障害入院患者に対する専門的リハ終了後の長期予後を調査分析し, 予後改善への問題提起を図る. 【対象】2004年4月以降, 入院時摂食嚥下障害を有し当施設で専門的リハを施行, 退院後180日以上を経た脳損傷29症例のうち情報が得られた22症例. 【方法】カルテ調査とアンケート・聞き取り調査を施行し, 入院加療時の基礎データ(年齢・性別・疾患・損傷部位・嚥下障害のタイプ・肺炎発症の有無等)を背景に, 退院時/調査時の栄養摂取形態・藤島グレード, 等を中心に比較検討した. 【結果】入院加療時データ:発症時年齢60.3±14.3才, 男:女=16:6, 疾患;脳梗塞10・脳出血5・脳梗塞/脳出血合併3・くも膜下出血/脳梗塞合併2・外傷性脳損傷1・外傷性脳損傷/脳梗塞合併1, 入院中肺炎発症例4, 退院時胃ろう造設例7であった. 追跡期間381±136.5日後の比較では, 退院時/調査時の栄養摂取形態;経口のみ14/13・経口>経管1/0・経口=経管0/1・経口<経管5/3・経管のみ2/4・経静脈栄養0/1, また退院時/調査時の藤島グレード;6.8±2.3/6.8±3.3であった. 退院後新たな胃ろう造設・胃ろう離脱はいずれも0であった. 退院時栄養摂取形態により“経口のみ栄養”群14例と“経管あり栄養群”8例に分け比較すると, “経口のみ栄養”群14例中, 原疾患再発・誤嚥性肺炎による増悪各1例を除く12例が経口のみ栄養を維持しかつ食物形態改善を認め長期予後良好であるのに対し, “経管あり栄養群”8例では, 経口のみ栄養に移行し得たもの1例, 経管のみ栄養から経口補助栄養に改善したもの2例, 反対に介助者の負担・本人の欲求低下等より経管のみ栄養に後退したもの4例と, その長期予後に格差が認められた(残り1例は現疾患再発による増悪). 【まとめ】退院時に経管栄養を補助的にでも要する嚥下障害患者に対して, 細心の専門的治療・指導を継続することが長期予後改善への大きな貢献要素と考えられる.
ISSN:1343-8441