COVID-19と甲状腺疾患

「要旨」COVID-19はSARS-CoV-2ウイルスの感染によって引き起こされる感染症であり, 2019年12月に発生しパンデミックとなった. COVID-19は重大な呼吸器疾患に加え, 循環器疾患, 凝固異常, 自己免疫疾患などの全身合併症をもたらすことが報告されている. COVID-19に関連した甲状腺疾患に関しては, これまで亜急性甲状腺炎, 非定型甲状腺炎, Basedow病, 橋本病, 産後甲状腺炎やH-P-T axisの障害, non-thyroidal illness syndromeが明らかとなった. 詳細な病因は明らかでないものの, ウイルス感染後の自己免疫の活性化やSAR...

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Published in日本甲状腺学会雑誌 Vol. 13; no. 1; pp. 40 - 46
Main Author 稲葉秀文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本甲状腺学会 27.04.2022
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ISSN2185-3126

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Summary:「要旨」COVID-19はSARS-CoV-2ウイルスの感染によって引き起こされる感染症であり, 2019年12月に発生しパンデミックとなった. COVID-19は重大な呼吸器疾患に加え, 循環器疾患, 凝固異常, 自己免疫疾患などの全身合併症をもたらすことが報告されている. COVID-19に関連した甲状腺疾患に関しては, これまで亜急性甲状腺炎, 非定型甲状腺炎, Basedow病, 橋本病, 産後甲状腺炎やH-P-T axisの障害, non-thyroidal illness syndromeが明らかとなった. 詳細な病因は明らかでないものの, ウイルス感染後の自己免疫の活性化やSARS-CoV-2による直接の組織障害がそれらの発症に関与している可能性があると考えられている. 本稿においては, COVID-19と甲状腺疾患について概説し, 治療法をはじめとした今後の展開につき検討する.
ISSN:2185-3126