施設で生活する重症心身障害者の日常生活における「人との関わり」に関する調査

【目的】施設で生活する重症心身障害者(以下, 重症者)を対象として, 日常生活での「人との関わり」を調査, 分析し, 援助の視点を考察する. 【方法】参加者:22名, 年齢39.0±7.1歳(28~52歳), 全員独歩不能かつIQ35未満. 調査期間:平日7:30から21:00まで, 計22日間. 調査方法:非参与観察. 「人との関わり」は, 「人へ向けて, 音声言語, サイン, ジェスチャー, 物の提示, 身体接触が行われること」を開始とし, 「関わりの参加者が場を離れる, あるいは相手への注目がとぎれた」時点で終了とした. 【結果】記録された「人との関わり」総数は1,912回. (1)相手...

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Published inコミュニケーション障害学 Vol. 21; no. 3; p. 217
Main Author 服部律子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本コミュニケーション障害学会 30.12.2004
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Summary:【目的】施設で生活する重症心身障害者(以下, 重症者)を対象として, 日常生活での「人との関わり」を調査, 分析し, 援助の視点を考察する. 【方法】参加者:22名, 年齢39.0±7.1歳(28~52歳), 全員独歩不能かつIQ35未満. 調査期間:平日7:30から21:00まで, 計22日間. 調査方法:非参与観察. 「人との関わり」は, 「人へ向けて, 音声言語, サイン, ジェスチャー, 物の提示, 身体接触が行われること」を開始とし, 「関わりの参加者が場を離れる, あるいは相手への注目がとぎれた」時点で終了とした. 【結果】記録された「人との関わり」総数は1,912回. (1)相手の属性:所属病棟の職員78.5%, 所属病棟の重症者4.5%, 所属病棟以外の施設職員5.1%, 施設外の人6.0%. 施設外の人との関わりが少ない. (2)開始者:重症者31.6%, 相手68.4%. 重症者も能動的な関わり手である. (3)相手の応答の有無:重症者が開始した関わり604回のうち, 応答されたもの58.3%, 応答されなかったもの41.7%. 応答されない関わりの割合が4割以上. (4)随伴するコミュニケーション手段の種類:職員が開始した関わり1,100回のうち, コミュニケーション手段を伴わなかったものが23.6%あった. 音声言語のみ57.5%, 音声言語とジェスチャー, 身体接触などその他のコミュニケーション手段が重複した関わり15.1%, その他のコミュニケーション手段のみ3.6%. 重症者に理解しにくいコミュニケーション手段が多い. 【考察】施設で生活する重症者の「人との関わり」を援助するには, 以下の4つの視点が必要である. (1)関わり相手の属性, (2)重症者の開始した関わりに対する応答, (3)重症者に対する関わりへのコミュニケーション手段の随伴, (4)重症者に対して使用されるコミュニケーション手段の種類. 謝辞:本研究は2002年度日本コミュニケーション障害学会研究助成金による援助を受けて行いました. 感謝いたします. 協力いただいた施設の皆様にも心から感謝いたします.
ISSN:1347-8451