シタフロキサシンの人工バイオフィルムに対する抗菌力の検討

要旨:本研究は, in vitroバイオフィルムに対するシタフロキサシン(STFX)の効果を検討することを目的とした. 歯周病においてバイオフィルムは複数菌で構成され, 抗菌薬に耐性を示すことが知られている. STFXはニューキノロン系経口抗菌薬であり嫌気性口腔細菌を含む幅広い抗菌スペクトラムを示す. 我々は微量流体デバイスBioFluxを採用した. BioFluxは嫌気条件下で自動的に培地を排出可能であり, 本研究に有用と考えた. Porphyromonas gingivalis ATCC33277およびStreptococcus gordonii ATCC35105の2菌種混合液を用い,...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 406 - 413
Main Authors 大石匠, 深谷千絵, 笠井俊輔, 太田淳也, 国分栄仁, 齋藤淳, 石原和幸, 中川種昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 28.12.2014
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ISSN0385-0110

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Summary:要旨:本研究は, in vitroバイオフィルムに対するシタフロキサシン(STFX)の効果を検討することを目的とした. 歯周病においてバイオフィルムは複数菌で構成され, 抗菌薬に耐性を示すことが知られている. STFXはニューキノロン系経口抗菌薬であり嫌気性口腔細菌を含む幅広い抗菌スペクトラムを示す. 我々は微量流体デバイスBioFluxを採用した. BioFluxは嫌気条件下で自動的に培地を排出可能であり, 本研究に有用と考えた. Porphyromonas gingivalis ATCC33277およびStreptococcus gordonii ATCC35105の2菌種混合液を用い, 37℃, 2時間かけバイオフィルムを形成させ, 顕微鏡にて確認した. STFXまたは対照薬アジスロマイシン(AZM)を添加後, 嫌気条件下で5日間作用させた. 薬剤濃度は経口常用量投与時の歯肉組織および歯肉溝滲出液中濃度に基づき, STFXは0.65および1.30μg/ml, AZMは2.92, 3.95および7.90μg/mlとした. 薬剤作用後の生存率は, 染色後の画像解析にて定量した. その結果, 抗菌薬作用群すべてにおいて, 生存率の減少を認めた. STFX作用後の生存率は, AZM各群と比較して有意(p<0.05)に少なかった. 以上の結果より, STFXはバイオフィルム中の歯周病原細菌に対して破壊効果を有することが示唆された.
ISSN:0385-0110