脊髄硬膜動静脈瘻の1例
「はじめに」脊髄硬膜動静脈瘻は比較的稀な疾患であるが, 適切に治療されれば予後は比較的良好である. しかしそのMRI像より脊髄腫瘍とまぎらわしい場合もある. 今回我々は脊髄硬膜動静脈瘻の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 52歳 女性 主訴:両下肢筋力低下 既往歴:特記すべき事項はない. 家族歴:特記すべき事項はない. 平成7年6月より両下肢, 特に左下肢に力が入りにくくなり, 歩行障害を示したが, 近医にて保存的に加療され軽快した. 平成8年4月4日になって突然右下肢が動かなくなったため翌日当科受診. 精査加療目的にて同日入院となった. 両下腿以下の触圧覚, 温痛覚の...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 942 - 944 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.1998
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」脊髄硬膜動静脈瘻は比較的稀な疾患であるが, 適切に治療されれば予後は比較的良好である. しかしそのMRI像より脊髄腫瘍とまぎらわしい場合もある. 今回我々は脊髄硬膜動静脈瘻の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 52歳 女性 主訴:両下肢筋力低下 既往歴:特記すべき事項はない. 家族歴:特記すべき事項はない. 平成7年6月より両下肢, 特に左下肢に力が入りにくくなり, 歩行障害を示したが, 近医にて保存的に加療され軽快した. 平成8年4月4日になって突然右下肢が動かなくなったため翌日当科受診. 精査加療目的にて同日入院となった. 両下腿以下の触圧覚, 温痛覚の鈍麻を認めた. 筋力は下肢でMMT3~4程度であり歩行不能で, 軽度の排尿障害を認めた. 膝蓋腱反射アキレス腱反射は右側にて軽度亢進していた. 血液検査および髄液検査では異常を認めなかった. 頸椎, 胸椎, 腰椎単純X線では異常を認めなかった. 臨床症状より胸腰椎移行部レベルでの脊髄性麻痺を疑い, 同部のMRIを緊急で施行した. このMRIではT11~12レベルで脊髄の腫脹を認め, T8~12レベルでは髄内にT2強調像にて高信号領域を認めた. |
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ISSN: | 0037-1033 |