尺骨鉤状突起骨折を伴う肘関節脱臼の2例

「はじめに」尺骨鉤状突起骨折は肘関節の後方脱臼に際して, 時に見られる合併症である. 初期治療の際に適切な治療が行われないと, 再脱臼や関節拘縮をきたす. 症例によっては観血的整復固定術を必要とするが, その適応について一致した見解はない. 最近我々は, 本骨折に対し, 観血的整復固定術を施行した2症例を経験したので報告する. 症例 症例1 15歳, 男性. 主訴:左肘関節の疼痛, 腫脹. 現病歴1996年11月9日, 自転車走行中に転倒し左肘関節の過伸展を強制され受傷. 直ちに近医受診し, 脱臼位のままシーネ固定を受け, 11月19日当院紹介受診となった. 初診時現症:左肘関節は後方に脱臼し...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 3; pp. 797 - 799
Main Authors 高宮啓彰, 安藤則行, 田中信博, 永田見生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1998
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Summary:「はじめに」尺骨鉤状突起骨折は肘関節の後方脱臼に際して, 時に見られる合併症である. 初期治療の際に適切な治療が行われないと, 再脱臼や関節拘縮をきたす. 症例によっては観血的整復固定術を必要とするが, その適応について一致した見解はない. 最近我々は, 本骨折に対し, 観血的整復固定術を施行した2症例を経験したので報告する. 症例 症例1 15歳, 男性. 主訴:左肘関節の疼痛, 腫脹. 現病歴1996年11月9日, 自転車走行中に転倒し左肘関節の過伸展を強制され受傷. 直ちに近医受診し, 脱臼位のままシーネ固定を受け, 11月19日当院紹介受診となった. 初診時現症:左肘関節は後方に脱臼し, 整復は困難であった. 初診時単純X線:左肘関節正面像で, 上腕骨外顆骨折が認められた. また側面像では, 尺骨鉤状突起骨折を伴う肘関節の後方脱臼が認められた(図1). 徒手整復を試みるも整復が困難であったため, 後日, 鉤状突起骨折に対しAO mini screw, 外顆骨折に対しtension band wiringによる骨接合術を施行した(図2). 3週間の固定後, 自動運動を開始した.
ISSN:0037-1033