ヒトにおけるボルナ病ウイルス(BDV)感染

【目的】 ボルナ病ウイルス(BDV)はさまざまな家畜に感染して, 行動や認知の障害を起こす好神経性ウイルスである. BDVがヒトにも感染していることが最近明らかにされ, 特に精神病との関係が注目されている. 一部の精神障害がウイルスにより惹起されることが確立すれば, 治療・予防への道を大きく開くことになる. 【方法と結果】 熊本県の精神病患者(55名, 平均年齢47歳), 健常人(36名, 40歳)の末梢血単核球について, BDV・RNAの検出をRT-PCR法で, 血漿については間接蛍光抗体法とWestern Blotting法でBDV抗体を検出した. RT-PCR法で患者の10.9%にBDV...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 301
Main Authors 山口一成, 吉木景子, 中満三容子, 西原久美子, 福吉葉子, 井形るり子, 山崎浩, 松岡雅雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】 ボルナ病ウイルス(BDV)はさまざまな家畜に感染して, 行動や認知の障害を起こす好神経性ウイルスである. BDVがヒトにも感染していることが最近明らかにされ, 特に精神病との関係が注目されている. 一部の精神障害がウイルスにより惹起されることが確立すれば, 治療・予防への道を大きく開くことになる. 【方法と結果】 熊本県の精神病患者(55名, 平均年齢47歳), 健常人(36名, 40歳)の末梢血単核球について, BDV・RNAの検出をRT-PCR法で, 血漿については間接蛍光抗体法とWestern Blotting法でBDV抗体を検出した. RT-PCR法で患者の10.9%にBDV・RNAが検出されたが, 健常人では検出されなかった. 抗体検出では二つの方法が一致せず, また抗体陽性者とRNA陽性者が必ずしも一致せず今後の課題となつた. 【考察】 日本におけるBDV感染の疫学, 輸血を含めた感染経路の解明, 及び病態との関連の検討が今後の課題である. (Nature Medicine 2:948, 1996)
ISSN:0546-1448