(2)骨髄異形成症候群における芽球上B7-H1発現とT細胞免疫に及ぼす影響:B7-H1経路遮断と制御性T細胞抑制を用いた免疫治療の開発
「諸言」骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞に由来する腫瘍であり, 血球減少, 造血細胞のアポトーシス増加, 急性骨髄性白血病への転化などを特徴とする. 病勢進行に伴い, 腫瘍細胞である芽球はアポトーシスを回避し, 増殖力を増すとともに, T細胞免疫の異常が顕著となることも報告されている. 幹細胞移植が唯一治癒可能な治療法であるが, 高齢者など適応外となる症例も多く, それらに対しては長期に有効な治療法は確立していない. B7-H1(CD274)は抗原提示細胞に発現する補助刺激・抑制分子であり, その受容体PD-1を介して活性化T細胞を抑制する. B7-H1は種々の腫瘍細胞表面に発現しており...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 7; no. 4; p. 198 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
01.10.2011
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Summary: | 「諸言」骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞に由来する腫瘍であり, 血球減少, 造血細胞のアポトーシス増加, 急性骨髄性白血病への転化などを特徴とする. 病勢進行に伴い, 腫瘍細胞である芽球はアポトーシスを回避し, 増殖力を増すとともに, T細胞免疫の異常が顕著となることも報告されている. 幹細胞移植が唯一治癒可能な治療法であるが, 高齢者など適応外となる症例も多く, それらに対しては長期に有効な治療法は確立していない. B7-H1(CD274)は抗原提示細胞に発現する補助刺激・抑制分子であり, その受容体PD-1を介して活性化T細胞を抑制する. B7-H1は種々の腫瘍細胞表面に発現しており, B7-H1発現腫瘍は腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の抑制などにより抗腫瘍免疫の攻撃を回避する. 我々は, MDS患者において, T細胞のアポトーシス亢進, T細胞抑制分子(PD-1など)の発現亢進, 血漿中可溶性IL-2レセプターの増加, 腫瘍抗原WT1の発現亢進について報告した. |
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ISSN: | 1349-8975 |