左大腿骨血友病性偽腫瘍に対し, 股関節離断術をおこなった血友病Aの1症例
私たちは, 最近, 左大腿骨に巨大な血友病性偽腫瘍(hemophilic pseudotumour)を形成した血友病Aの1症例に対して, 左股関節離断術をおこない, 一応の治癒を得たので, その経過につき報告する. 患者は48才の男で, 主訴は左大腿の腫脹と難治性出血性瘻孔の形成である. 同一家系に, 出血性素因を有する男が, 本症例とも8人あり, いずれも色盲を合併している. 18才の時に, 歯肉出血の異常遷延をきたし, 血友病を疑われた. 22才の時, 左大腿に深部出血を思わせる強い有痛性腫脹を訴え, 以後同様の症状を頻繁に繰り返していたが, 41才の時, 左大腿骨の病的骨折をおこし徳島大...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 18; no. 5/6; pp. 184 - 186 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.12.1971
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 私たちは, 最近, 左大腿骨に巨大な血友病性偽腫瘍(hemophilic pseudotumour)を形成した血友病Aの1症例に対して, 左股関節離断術をおこない, 一応の治癒を得たので, その経過につき報告する. 患者は48才の男で, 主訴は左大腿の腫脹と難治性出血性瘻孔の形成である. 同一家系に, 出血性素因を有する男が, 本症例とも8人あり, いずれも色盲を合併している. 18才の時に, 歯肉出血の異常遷延をきたし, 血友病を疑われた. 22才の時, 左大腿に深部出血を思わせる強い有痛性腫脹を訴え, 以後同様の症状を頻繁に繰り返していたが, 41才の時, 左大腿骨の病的骨折をおこし徳島大学に入院し, 血友病Aの診断を受け, 3ヵ月間ギプスを装着していたが, 骨癒合をまたずに退院し, 長下肢装具をもちいて歩行するうち, 次第に大腿の腫脹・短縮が著明となり, さらに46才の時には, 右腰部にも腫脹を生じた. さらに47才の時には, 左膝窩部に瘻孔を形成して断続的に出血を訴え, 歩行不能となったので, 外科的治療を希望して昨年7月9日大阪大学第2外科に入院, ただちに整形外科共同観察となった. |
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ISSN: | 0546-1448 |