眼器質疾患をもつ低年齢児に対するSpot(TM) Vision Screener

「要約」【目的】眼器質疾患をもつ低年齢児に対しSpot(TM) Vision Screener(以下SVS)を施行し, 検査の有用性を検討した. 【方法】対象は2016年2月~2018年5月に国立成育医療研究センターを受診し, SVSを施行した3歳以下の低年齢児326例中, 眼器質疾患と診断された患児132例(男児76例, 女児56例)である. SVSによる両眼同時測定の可否, 不可能例の眼疾患の内訳を検討した. また測定可能例を斜視判定, 屈折異常判定, 異常なし判定の3群に分類し, 疾患と重症度を検討した. 【結果】眼器質疾患のある患児のうち両眼同時測定不可能は66例(50%)で, 重篤な...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 48; pp. 73 - 80
Main Authors 石井杏奈, 仁科幸子, 松岡真未, 三井田千春, 赤池祥子, 新保由紀子, 越後貫滋子, 吉田朋世, 横井匡, 東範行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本視能訓練士協会 01.12.2019
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Summary:「要約」【目的】眼器質疾患をもつ低年齢児に対しSpot(TM) Vision Screener(以下SVS)を施行し, 検査の有用性を検討した. 【方法】対象は2016年2月~2018年5月に国立成育医療研究センターを受診し, SVSを施行した3歳以下の低年齢児326例中, 眼器質疾患と診断された患児132例(男児76例, 女児56例)である. SVSによる両眼同時測定の可否, 不可能例の眼疾患の内訳を検討した. また測定可能例を斜視判定, 屈折異常判定, 異常なし判定の3群に分類し, 疾患と重症度を検討した. 【結果】眼器質疾患のある患児のうち両眼同時測定不可能は66例(50%)で, 重篤な視覚障害をきたす前眼部・後眼部疾患や小眼球が55例(83%)を占めた. 両眼同時測定可能66例のうち, 斜視判定は12例で, 偽斜視1例を除き全例が重篤な前眼部・後眼部疾患であった. 屈折異常判定は22例で, 重篤な疾患は12例(55%)であった. 一方, 異常なし判定32例の中にも, 重篤な後眼部疾患8例(25%)が含まれていた. 【結論】SVSで両眼同時測定不可能や斜視判定の場合, 重篤な眼器質疾患が存在する可能性があり, 早急に眼科精密検査を受けるよう周知すべきである.
ISSN:0387-5172