様々な病態における痛みと神経成長因子 (NGF)
「はじめに」 神経成長因子(nerve growth factor; NGF, 別名neurotrophin (NT)-1)は神経冠由来の小型の脊髄神経節(dorsal root ganglia; DRG)細胞と交感神経細胞の生存因子として最初に同定された神経栄養因子の1つであり, receptor tyrosine kinase A (tropomyosine related kinase A; TrkA)に結合してその作用を発現する. 本総説では, 様々な病態における痛みにどのようにNGFが関わっているかについて概説する. なお本稿は筆者らの英文総説を参考に, 一部新しい知見を付け加えて執...
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Published in | PAIN RESEARCH Vol. 37; no. 2; pp. 61 - 67 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本疼痛学会
15.07.2022
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Summary: | 「はじめに」 神経成長因子(nerve growth factor; NGF, 別名neurotrophin (NT)-1)は神経冠由来の小型の脊髄神経節(dorsal root ganglia; DRG)細胞と交感神経細胞の生存因子として最初に同定された神経栄養因子の1つであり, receptor tyrosine kinase A (tropomyosine related kinase A; TrkA)に結合してその作用を発現する. 本総説では, 様々な病態における痛みにどのようにNGFが関わっているかについて概説する. なお本稿は筆者らの英文総説を参考に, 一部新しい知見を付け加えて執筆した. 「NGFまたはTrkAの異常による侵害受容系の変化」 NGFとTrkAは侵害受容機能の発達に必要である. 事実, NGF欠損マウスはtail pinchにほとんど反応せず, tail flick testでも反応時間の延長を示した. また, DRG細胞や後根におけるCGRPの発現がNGFのノックアウトにより消失した. |
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ISSN: | 0915-8588 |