口唇裂・口蓋裂の総合治療

口唇口蓋裂は最もポピュラーな先天的形態異常のひとつとされている. わが国では500~600人に1人生まれるとされるが, 近い将来悪性腫瘍やその他の難病の治療の通が開かれたとしても, このような生まれつきの形態異常の発生率が低下するとは思われない. 口唇口蓋裂の治療成績の善し悪しはその児の一生を左右する重要な問題である. QOLを考慮にいれた治療が重要視されている昨今の状況を考えると, 患児の負担をできるだけ少なくした効率の良い治療が望まれる. しかし口唇口蓋裂児の治療は口唇のキズアト, 歯槽骨と歯牙の変形に対する矯正治療, 顔面骨の成長, 合併する耳鼻疾患の治療, 言語の問題, 合併奇形の有無...

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Published inDental Medicine Research Vol. 30; no. 2; p. 202
Main Author 中島龍夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 31.07.2010
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Summary:口唇口蓋裂は最もポピュラーな先天的形態異常のひとつとされている. わが国では500~600人に1人生まれるとされるが, 近い将来悪性腫瘍やその他の難病の治療の通が開かれたとしても, このような生まれつきの形態異常の発生率が低下するとは思われない. 口唇口蓋裂の治療成績の善し悪しはその児の一生を左右する重要な問題である. QOLを考慮にいれた治療が重要視されている昨今の状況を考えると, 患児の負担をできるだけ少なくした効率の良い治療が望まれる. しかし口唇口蓋裂児の治療は口唇のキズアト, 歯槽骨と歯牙の変形に対する矯正治療, 顔面骨の成長, 合併する耳鼻疾患の治療, 言語の問題, 合併奇形の有無の検索, 社会的問題への対応など多くの複雑な問題を抱えている. また, その治療には出生直後から成人に達するまでの間に, 新生児期・乳幼児期における合併奇形の検索と対応, 晴乳の指導, 手術時の術前術後の検査, 言語訓練, 顎発育, 歯牙の矯正治療, さらには心理面への対応など多くの困難な問題が山積みされており, 関連する各科の協力による綿密な治療プランが手際よく実施されなければならない.
ISSN:1882-0719